音質にこだわる昭和40年男たち。

ソニーが開発した高品質の音が楽しめる『Blu-spec CD2』なる技術を駆使して、名盤の数々がリリースされたのはまだ記憶に新しい。ボデ・ディランなど、いくつかを買い替えた。

RT110118-DD-02もともとはアナログで持っているものをCDの出現で買い替え、さらに紙ジャケの誘惑に乗り、昨今は高品質音源に踊らされている。カセットテープを含めて、同じタイトルをいくつも持っているという昭和40年男は多くいることだろう。僕もいつもため息をつきながら購入を続けている。これがCDネイティブ世代になると、消費はきっとずいぶんとことなるだろう。そもそも紙ジャケを知らないのだから誘惑されない。アナログ盤の滑らかな音質を知らないのだから、もしかすると高音質CDも必要ないのではないだろうか。

我々世代は、アナログ音源の再生技術がギリギリまで引き上げられた音響機器を10代で追いかけて、便利でクリアなCD音源への変化を20歳前後で体験した。なんだかシャリシャリする音に違和感を感じながらも、アナログ時代の最大の課題だったノイズがまったくなくなったことで、あたたかく受け入れたのだった。だがやはり、音質にこだわりを持つ者が多いから音質を追求した再リリースに弱く、これらの消費を支えているのだろう。

そしてつい先日、新聞の番組欄に小さなカラー広告が掲載されていた。ビジュアルは僕にとってのベスト10アルバムに入るだろう『いとしのレイラ』だ。なになに『プラチナSHM』だと!! なんと反射膜にプラチナを使用しただと!! まるでかつて、メタルテープが出たときのようなショッキングなうたい文句じゃないか。もちろん、既存のCDプレイヤーで再生できる(一部旧型はダメとのことだが)そうだ。

そして深いため息で「またか」と、財布から札が飛んでいくシーンが脳裏をよぎったのだ。さっそく調べてみると、我々世代を直撃する10タイトルがラインナップされていた。ひどいひどすぎるぜユニバーサルさんよ。初回限定版は3,800円となっているから、ひとまず人生で5枚目となる『いとしのレイラ』は手に入れようと思う。もうすでにだまされた…、じゃなかった、購入したタメ年諸氏は、音質レポートを送ってほしい。待ってるぞ。

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