ビリー・ジョエル vs ブルース・スプリングスティーン対決。

ニューヨーク52番街本誌連動企画の『3番勝負!』には投票いただけただろうか? 今回は若かりし日々を盛り上げてくれた洋楽シーンの中から、ソロシンガーの対決にしてみた。 出題者の僕より、思い入れたっぷりに解説させていただきたい。イギリスシンガー対決の第1ラウンドに続いて、第2ラウンドはアメリカを代表するシンガー2人の対決だ。

ビリージョエルに初めてふれたのは中1の冬のことで、『ダイヤトーン・ポップス・ベストテン』から流れてきた。このラジオ番組は僕の人生を変えたといっていいほどの存在だな。洋楽に興味を持ち始めたのが中1頃で、その暮れに年間ベストテンとの企画があった。これには大いに喜んだ。洋楽知識に乏しい僕にとって、人気アーティストをまるで一網打尽にできると、この日の曲はすべて録音して雑誌『ミュージックライフ』と照らし合わせながら知識をつけたのだ。この上位に食い込んだのが『ストレンジャー』だった。印象的な口笛からカッチョいいリフに入り粘っこい歌唱が聞けるこの曲に、なんて素晴らしい世界なんだと感激したものだ。それまで夢中になっていた歌謡曲とはまったく違う。こんな音楽が存在するのかと胸ときめいた。

ストレンジャーそしてこの頃はアルバム『ニューヨーク52番街』がヒットしていて、ラジオからはチョクチョク『マイ・ライフ』が流れていた。やがてやってくるお正月のビックボーナスお年玉で、生まれて初めてレコードを買うことを決意していた。その候補をアレやコレやと挙げては悩んでいた頃だ。ちなみにこのとき候補になったのが、クイーン、ジャパン、エアロスミス、ビートルズ、チープトリック、ロッド・スチュワートといった、まんま『ミュージックライフ』の影響が強いリストだった。そしてここには『ストレンジャー』と『ニューヨーク52番街』も入っていた。

ビリージョエルの魅力はなんといってもメロディラインにある。ポップでキャッチーで、中学生を洋楽の世界に誘うのにピッタリで、とくに前述の2枚に収録された曲の数々は大いに貢献した。後の『ガラスのニューヨーク』もカッチョよくて、ここでもアルバムを買おうかと大いに悩んだが、とうとう僕はビリーのアルバムに手を出さなかった。ラジオのパワープレイにバシバシ乗っていて、エアチェックが容易だったことが大きく、でもそのせいで中途半端なファンになってしまった気がする。アルバムを手に入れたミャージシャンに対しては、その投資額の大きさから入れ込む。ライナーノーツを何度も読み込んで、それ以前のアルバムもコレクションしたくなったりと、そのミュージシャンのヘビージャンキーとなるのだ。それにテープに収めたものを聴くのとは集中力が違う。歌詞カードを追いかけながらその世界に没頭して聴くのと、エアチェックしたテープを“流す”のとでは雲泥の差になる。結果、理解度が深まって、より入れ込むことになるのだ。実際、洋楽ライフの初期に買ったロッドもクイーンもエアロも、ほぼすべてのアルバムを揃えている僕だ。

いつも購入候補に挙げながら、ビリー・ジョエルとビートルズを買わなかったことは、後にミュージシャンを目指した時に悪影響を感じた。引き出しに入っているいいメロディが少ない。才能云々は棚のはるか上に置いてだが、メロディラインが全体的にいなたいのが僕の曲だ。たとえば桑田さんは、ビリーとビートルズのきっと全曲のメロディが引き出しに入っているんじゃないか。だから、曲を書こうとすると自然といいメロディがあふれ出てくる。ビリーへの愛を証明するように、桑田さんが嘉門雄三名義で出したカバーライブアルバムには『さよならハリウッド』と『ガラスのニューヨーク』の2曲が収録されている。『さよならハリウッド』なんて、まんまサザンみたいだものね。

昭和40年男にとっては中高時代に、傑作を多くリリースしてくれたビリー・ジョエルだ。僕らに音楽の素晴らしさを教えてくれた、大きな存在である。って、またまた長くなっちまったから、相手のブルース・スプリングスティーンについては明日綴らせてくれっ!!

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1件のコメント

  1. 懐かしいです。
    コーセ化粧品歌謡ベストテンの後にダイヤトーン・ポップス・ベストテンを放送していたんですよね。
    洋楽のベストテンの番組名をすっかり忘れていました。
    当時はマクセルの「UD」を使って、これまた懐かしい当時の4チャンネルステレオ(私はTRIO)に安いカセットデッキを接続して気に入った曲を録音し、ダビングは高校生になって買ってもらったラジカセからダビングを行いました。

    当時はビリージョエルのストレンジャーを初めて聞いた時、なんじゃ?この曲は。凄く心に残るメロディーだなぁって感じてシングルレコードを買いました。
    でも、初めてのCDは「うる星やつら」でした(笑)
    ビリージョエルも斬新でしたが、それ以上に忘れられないのがオフコースでした。

    今でも初期型のカセットウォークマン(WM-3という初期型のメタル対応型)とビリージョエルやオフコース(小田和正)の曲を録音したカセットテープを愛用しています。
    WM-3は1981年に発売されたので、もう32年前になります。
    今では駆動ベルトの自作もなんとか出来るようになり、駆動ベルトの品切れに泣く事も無くなりました。
    こんな感じです
    >http://blogs.yahoo.co.jp/snow_torajima/34338205.html
    あとはどこまで本体が持ちこたえてくれるかです。

    そうそう、ビリージョエルでふと思い出したのが、SONYのミニコンポだったかCMで流れていた曲が「Don’t Ask Me why」で、ストレンジャーとは全く違った事にビックリした記憶が残っています。

    雑誌だけでなくWebでも楽しませてくれる、もう本当に最高です。

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