『リングにかけろ』の想い出。

〆切作業をしながらも、次号の特集企画のことが気になる。こんな進行ではダメダメなのを重々反省しながらも、特集テーマがまだ定まっていない焦りにつぶされそうな日々が続いているのだ。いろいろと考えながら、ふと『リングにかけろ』に行きついた。調べてみると小5の3学期に始まった連載で、すごく夢中になったことを思い出した。連載当初は仲間とも大いに盛り上がったが、ジャンプ特有のだんだん話が大きくなって手の届かなくなってしまうパターンでいつの間にか読まなくなってしまった。よくよく考えると、ジャンプがこのパターンを使った先駆けの作品だったのかな。この後の『キン肉マン』や『るろうに剣心』とかも、初期の方が断然おもしろかったと僕は思う。僕はジャンプのヘビーユーザーでなかったので、あまり確かなことは言えないが、ともかく『リングにかけろ』は話が大きくなったせいでせいで尻切れとんぼになり、これまで記憶から遠ざかっていたのだ。

思い出してみると、昭和名作の要素を発展させながらたくさん詰めこんでいる。まず、お姉ちゃんの存在が大きい。このキャラは『巨人の星』における、飛雄馬の父さん一徹とお姉さんの明子が混じって完成したキャラだ(笑)。ちょっとセクシーなのもいい。大リーグ養成ギブスは付けないが、パワーリフトを付けさせるあたりもそっくりである。さらに花形と完全にかぶるキャラ、剣崎の存在も大きい。これは後の『はじめの一歩』における宮田君にも繋がることになる。日本代表なんて5人組に発展すると完全にゴレンジャーのノリで、剣崎はアオレンジャーになるね。

このマンガで画期的だったのは、前述のとおりパワーリストの存在だった。いつも付けているから外すとパワー全開となるってのはよく出来た考え方で、これは『ドラゴンボール』の精神と時の部屋にも相通ずる。当時、下手ながら野球に没頭していて親父に買ってほしいと嘆願した。スポーツ系のお願いは大概聞き入れてくれるのだが、これはNOだった。肩や肘を壊すというのだが『リングにかけろ』をみせて、少年でも大丈夫なことを説得したバカバカしい想い出もある。

それまでボクシングマンガといえば『あしたのジョー』が絶対だった僕に、新しい風を吹き込んだこと問いう点では画期的な作品だった。そんな諸々いろんなことを思い出したはいいが、だからって次の特集が決まる訳じゃなくただの時間の浪費に終わった。〆切まっただ中だってのに、ずいぶんと無駄遣いをしたものだ。

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4件のコメント

  1. 本誌の方、いつも楽しく読ませて貰ってます。

    自分も「リンかけ」は当初の現実的な流れより、日米戦や影道以降の荒唐無稽な展開にハマりました。世界大会の会場の描写は、W杯をヒントにしたのかな~なんて後から思ったり。

    ジャンプで、普通の展開からとんでもない話になるのは「アストロ球団」を思い出します。この前笑っていいともで東進ハイスクールの林先生が言ってましたが、確かに1試合で登場人物が数人死んだり、子供心にありえない話に興奮しました。

  2. パワーリストならぬ、ペラペラの通学カバンに鉛板を入れて鍛えてるツワモノもいましたよ。

  3. 私も同世代ですが、リングにかけろ!は日本Jrが結成されてからの方が夢中になってましたね~。
    月曜日が待ちきれず、土曜夜に近所の雑貨店に早売りのジャンプを入手して皆で回し読みしてました。

    あ、「明日のジョー」でなく「あしたのジョー」ですねw

    • ご指摘ありがとうございます。感謝です。『リングにかけろ』は、僕と真逆の楽しみ方ですね。こういう差異がおもしろいですよね。

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