昭和40年男のためのグルメ情報!?「酸辣湯麺」。

榮林「すごくおいしい、酸っぱくて辛いラーメンがあるの。食べにいこう」
「えっ、別にいいよそんなの。酸っぱいの得意じゃないし」
「だまされたと思って」と連れて行かれたのは、赤坂にあるいかにも高級そうな中国料理店『榮林』だった。ランチタイムの店内はごった返していて、そして酸っぱい匂いが充満していた。ほとんどの客がこの『酸辣湯麺』をすすっている。なんだかすごいところに来ちゃったなとメニューをのぞくと、『酸辣湯麺』以外にも魅力的な品々が並んでいた。なんでみんながみんな酸っぱくて辛いラーメンを頼むのだろうと「?」を浮かべながらも、彼女の熱心な薦めに折れた。

たかがラーメンで1,260円である。他のメニューもランチだってのにすべて4ケタ円なのはさすが赤坂だ。だが連れて行ってくれた女性は決して金持ちグルメではなく、むしろ高級店を嫌うタイプだから、『酸辣湯麺』とやらによほど魅力があるということだと期待が膨らんだ。やがて運ばれてきたそれは、まず…、むせた。凄まじく酸っぱくて、それまでの人生で経験したことのない味だった。しかも辛い。まさしく「酸っぱくて辛いラーメン」そのまんまだっが、食べ進めていくとその魅力にハマった。客のほとんどがオーダーするのもわかるし、高級店嫌いの彼女でさえ推すのもよくわかった。

こうした名物料理を知らないで、逃してしまった経験は皆さんにもあるのではないだろうか。北海道の函館に出かけたときのことだ。中心地で見つけた、よさげな中華料理店に入った。その日の営業が始まったばかりで客はまばらで、しかも誰のテーブルにもまだ料理は運ばれていない。壁には名物『海鮮焼きそば』なる文字が踊っていたが、函館といったら塩ラーメンでしょうと、名物を無視してオーダーした。僕の勘は鋭かったらしく名店なのだろう、すぐに店内は満杯になり行列ができた。だが鋭い勘はメニュー選びには反映されなかったことをやがて知る。次々に客へと運ばれるのは『海鮮焼きそば』なのだ。どいつもこいつもその塩味(だと思われる)の餡がかかった焼きそばをうまそうにかき込む。そしてやがて僕のテーブルにだけ、塩ラーメンが運ばれた。本当に僕だけで、20人ほどだっただろう他の客は全員が同じメニューに舌鼓を打ち、例外は大食の方がライスや餃子、また、うらやましい方はビールを呑んでいる。しつこいようだが全員が『海鮮焼きそば』なのだ。塩ラーメンだってうまかったが、そんなことで満足できる心理状態にない。なぜひと言、オーダーを取るときに言ってくれなかったんだと店員を逆恨みしたり、やがて他の客が僕を笑っているような気さえしてくる。負け戦のごとくそそくさと店を出たのだった。と、『榮林』に行くたびに函館でのこの出来事を思い出す。それくらいの『酸辣湯麺』率なのだ。

劇的な味にハマってしまった僕は、『酸辣湯麺』性肥満に悩み、『酸辣湯麺』性金欠症にもむしばまれた。かつては事務所が赤坂にあったから仲間を誘っては出かけて、多くのスタッフが僕と同じ病にかかったのだった。すっかり太ってしまった自分に、月3回までと制限をかけたのは、初めて食べた日から約1年が経過していたのだった。

赤坂に行けない方々には耳より情報がある。中華三昧が『榮林』とコラボして発売した『酸辣湯麺』が、かなり本家の味に近い。現在我が家の食材棚には欠かすこと無くストックされているのである。

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1件のコメント

  1. 僕が初めて酸辣湯麺を食べたのは浅草でした。

    水上バスで浅草についてそこに中華料理屋さんがあったはず

    今もあるのかな?

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