吉川晃司さんの新譜『SAMURAI ROCK』について。

吉川晃司 サムライロック先日リリースされたばかりの、吉川晃司さんの新譜『SAMURAI ROCK』を聴いた。インタビュー取材をするとものすごく親近感を感じられるのはこの仕事ゆえの感覚であり、またありがたいことであり、ちょっと特別な感覚を持って針を落とすと…、じゃなくプレイボタンを押すといきなりのインストナンバーに驚かされる。クイーンのセカンドのド頭『プロセッション』をイメージさせられたカッチョいい曲だ。タイトルも『覚醒』となっており、いろんなことを考えさせられる。ここから始まり、全編ビートが強くて、ハイテンションの曲が並ぶ。

実は吉川さんのアルバムを聴くのは初めてである。以前もここに書いたように、好感は持っていたもののそこどまりの存在だった。今回取材できることになりいろいろと調べてみると、彼は自分の名を隠して震災後の被災地で、何日も何日もひたすら働いたそうだ。自分のクルマに寝泊まりしながら、自分にできることを繰り返した。そして布袋さんに声をかけてCOMPLEXを再結成させ、東京ドームでのチャリティライブを成功させた。彼が今、使命感と当事者意識を持って日本という国と対峙している姿は、『昭和40年男』が目指す姿であり、すっかりファンになってしまった。

タメ年なんだなと感じさせる“におい”が随所から感じる。クイーンぽい疾走感だったり、ロッド・スチュワートの『パンドラの匣』とか、デビット・ボウイの『レッツ・ダンス』あたりとか、本人はまったく意識していないだろうがなんとなく感じてしまう。昭和40年男とのフィット感をニヤニヤしながら聴き込むのは楽しい。そして、歌詞に中に意味深な部分がたくさん秘められている。震災後のボランティア活動や原発に対しての彼の姿勢を考えるとこれらは深く同意する部分であり、だがここら辺はリスナーの感じ方に委ねられているのだろうから、皆さんがそれぞれに受け取ってほしい。そしてラストのバラードが、『覚醒』で始まった1枚の意味を示すように響き、アルバムは終結するのだ。

タメ年の男がこれほどのカッコいいのかと知ることで燃えてくる。また、タメ年だから痛い程感じるメッセージを受け取って自分が今できることを考える、『SAMURAI ROCK』とのタイトルどおりの作品になっているぞ。

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