大阪の親父さん。76歳の鉄人に学ぶ。

今年最後の出張で関西に来ている。夕べは活気に満ちたミナミで、大好きなクライアントさんとの忘年会を楽しんだのだった。その舞台は…

難波で見つけた浪速料理の看板を掲げる和食店だ。鳥料理を出す店とのことで『登里市』なるあて字で命名したとのことだが、鳥料理だけでなく絶品の出汁を使った料理の数々にいつもうなる。出汁をたっぷりと張った椀に、揚げた白身魚を放り込んである一品をいつも必ずオーダーする。それと出汁で煮た野菜の炊き合わせもいつもいただく。昨日は小さめの里芋がいい具合に炊いてあったのをいただいた。よそでは締めなんか絶対に頼まない僕なのだが、ここではこの出汁を使った卵雑炊をいただく(裏メニューのドライカレーも絶品で迷うのだが)。なんともいえない幸せをいつも味わえて昨日も大満足で、クライアントさんたちにも喜んでいただけた。

店構えは1人予算2万円くらいの高級店に見え、まだ30代だった僕がよく1人で入れたなと我ながら感心する。何度も店の前を行ったり来たりして、清水の舞台から飛び降りるくらいの覚悟で入ったのを昨日の事のように覚えいている。人の良さそうな親父さんと女将さんに迎え入れられ、値段が書いてないメニューながら、このお2人なら予算の心配は無いだろうと楽しく過ごした。案の定、店の雰囲気と料理のクオリティからはずいぶんと安価な会計に喜び、それ以来関西に出張があるとチャンスをうかがい、顔を出すようにしている。

大阪の親父さん

今年50周年を迎えて、来年の1月15日に店は半世紀の歴史にピリオドを打つ。76歳の親父さんはどんな日もつけ場に立ち続けてきた。定休日の無い店を守り続けてきた姿勢と、常にクオリティを維持してきたのにはいつも感服させられる。男としては教科書のような方である。なぜ店を閉めるに至ったのかはわからないが、寂しいものだ。だが寂しいとの言葉は口にしまいと決めて入店するなり、女将さんと握手を交わしながら「50周年おめでとうございます」と伝えると、瞬間目の前がにじんでしまった。やれやれ、歳をとるとすっかり涙もろくなるよ。寂しい言葉は言わないと誓ったはずだったが、すっかりいい気分になった僕はこの写真を撮り終えた後、ついつい親父さんに言っちまったい。うぇーん、寂しいよお!!

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