エアロスミスとローリング・ストーンズ、そして…。

レッド・ツェッペリン/祭典の日エアロスミス待望の新譜『ミュージック・フロム・アナザー・ディメンション!』に続き、ストーンズ結成50周年記念ベストが発売され、そして昨日はなんと、レッド・ツェッペリンの一夜限りの復活祭を収録した『祭典の日(奇跡のライブ)』が発売された。好調な売れ行きとなっていて、王者の貫禄を見せつけている。ビッグタイトル3連発は、ロックを愛している昭和40年男だったら黙っていられない。なにかと出費がかさむ年の瀬の財布を、ガツンと直撃していることだろう。

昨日リリースの『祭典の日(奇跡のライブ)』は、ブルーレイ映像もセットされているというのだからますますうれしい。2000万人の応募があったとされるライブを目撃できたのは、全世界でわずか1万8000人しかいなかったが、昨日よりは誰もが楽しめることとなったのだ。ついついセットリストをのぞき込んでしまったので、忘れた頃に観ようかなとバカな悩みを抱えている僕だ。

3組とも中学時代に出会い、ずっと愛し続けてきた。ここで展開している不定期連載の『懐かしの名盤ジャンジャカジャーン』でもそれぞれに対して長文を展開した。いずれも僕の人生をロックなるものへと誘った不良どもだ。エアロもストーンズもいまだ現役であることは人生の手本ともいえ、彼らのライブ映像を見る度にそのすばらしい体型にうなり、食事の量を抑えられるダイエット効果がある。ミックとスティーブンのしなやかさと運動量、キースとジョーのカッチョよさに一生背を向けないで生きていきたいと思っているが、最近ちょっとまずいな。エアロは先日も紹介した通り、今なおサウンド面での進化を続けていることは、体型維持と同じく驚異的であり見習うべき手本だ。

ツェッペリンのラストアルバムとなった79年リリースの『イン・スルー・ジ・アウト・ドア』は、デビュー以来最悪の出来だった(個人的には嫌いでないが)。進化が止まったどころか、明らかなる後退が見え、そこに不幸が重なったことで幕引きとなったのはご周知の通り。そしてあの頃は、3組とも駄作ぞろいというおもしろい現象が起きているのだ。同年にエアロは『ナイト・イン・ザ・ラッツ』をリリースして、やはりそれまでの成長と進化を完全にストップさせた(これまた僕は大好きだったりする)。ストーンズも翌年『エモーショナル・レスキュー』を出し、おかしくなっていた(このアルバムのラスト『オール・アバウト・ユー』は、キースボーカル曲でもっとも好きだが)。と、キャリアのまったく異なる3組ながら、奇しくも同じ時期に判で押したように駄作を出したのは、ロック界の激変に飲み込まれたということなのだろうか。

エアロの低迷は長かったが、まるで不死鳥のごとく蘇った後は、好き嫌いはあるにしても野心あふれる作品を送り続けている。ストーンズは駄作に続いての『刺青の男』でロック魂を完全復活させてそのまま継続路線をたどり、スーパーライブバンドのまま我が道をしっかりと歩んでいる。そこでつい考えてしまうのは、もしもジョン・ボーナムに不幸が訪れていなかったらと…。僕が思うには長い空白期間の野心作を出し、その後も5年に1枚くらいのペースですばらしいアルバムを出し続け『イン・スルー・ジ・アウト・ドア』は唯一の駄作と歴史に刻まれる。新作の度に「5年ぶりの過去最大級のツアー」とのキャッチコピーで展開されるライブはすばらしく、世界中のスタジアムを熱狂させ続けて現在に至る…と。ペイジのそれまでのクオリティを考えると、そんな想像をさせられる。でもだったらなぜあの駄作を生んでしまったのか? このライブを目撃することでなにかをつかめるかもしれないとの期待が膨らんでいる。改装後の渋谷のタワーレコードにまだいってなかったから、ちょっくら出かけて散財してやろうかとワクワクしている今日だ。

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