近いうちにね〜!!

昭和40年男だったら忙しいのはあたり前。働き盛りの中間管理職者たちは、毎夜遅くまで仕事に奔走していて、呑みに行くのもままならない日々だ。そんでもって幾度となく繰り返されるのがこんな会話でしょう。「いやあ、たまには一献傾けたいものですなあ」「お忙しそうじゃないですか」「そんなそんな、私なんか暇ですが御社こそ今が勝負で…」「いやいや、まあ『近いうちに』なんとか呑りましょうや」ってね。

先日、取引先と呼ぶのを超えた付き合いになっている男衆が5人終結し、伸び伸びになっていた『近いうち』を実現させた。閏年の今年、なんと2月29日に長男を授かった男がいて、その祝いの席を早いとこ設けようと調整を重ねてきたのだが、約半年もの時間が経過してやっとのことで実現となった。カワイイ昭和顔の倅の写真を照るくさそうに我々に見せる姿は微笑ましく、こちらまで幸せな気分になってくる。幸あれと杯を重ね、40過ぎ3人と50過ぎ2人の、合わせて250歳の席とは思えぬばか騒ぎが繰り広げられた。こうした『近いうちに』は、実現してしまえばじつにいいものである。

昨日のはこんな庶民の話ではない。オリンピックで盛り上がる国民の隙をついてなのかはわからんが、国のトップを走る男たちがまさか『近いうちに』でオチをつけるとは、なんと受け止めたらいいのだろう。谷垣さんにいたっては「近いうちは近いうちで、それ以上でもそれ以下でもない」との捨て台詞を吐いたようで、これは今年の流行語にしたいくらいの発言でないだろうか。今こそ情報バラエティが一斉攻撃のときなんだが、盛り上がらないのはなんとももどかしい。大きな決定が、史上最高に近い迷ゼリフによって形づくられているのだ。もっとも、毎日感動を届けてくれる、決定力で邁進するアスリートたちの活躍の方が、なにも決定できない彼らよりよっぽど価値があるということだろう。象徴するかのごとく、『近いうち』で締めくくったのだから。

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