取材現場の大改革。

ジャーン、これが今日の僕の仕事現場で、鈴鹿サーキットのプレスルームだ。約250席人近くが作業できるデスクには電源とネット環境が整っている。天井から吊られたモニターは4台がワンセットになり、ラップごとのタイムと実況映像を表示している。これが全部で24セット設置されていて、各プレスのライターや編集者はこの画面とにらめっこしながらページをイメージして作業を進める。メーカー広報担当者は自身のメーカーの情報を編集しながら、ネットでユーザー向けに情報を出したり、我々プレスへの情報提供に徹する。もっとも激務なのはカメラマンだろう。炎天下のうえ照り返しのキツイコースに出て、ひたすらに獲物を追う。ピットでの撮影は引火の危険があるため、消防士のごとく耐火服の着用が義務づけられていて、歩くサウナのごとく取材にあたる。撮影担当者にとってプレスルームはオアシスで、クーラーの効いた部屋で冷たい飲み物を体に流し込んでまたコースへと飛び出していくのを繰り返す。

今日は600ccクラスによって繰り広げられる4時間耐久と、昨日までの8耐予選でのトップ10のタイムをたたき出したチームによる、明日の決勝グリッドを決定する『トップテントライアル』との1発勝負がメインコンテンツである。タメ年監督の鶴田竜二が率いる『エヴァRT 初動機トリックスター』は、昨日までの予選で6位とまずまずのところにいる。この後行なわれる『トップテントライアル』で1つでも順位を上げ、いいところからスタートを切りたいところだ。だが明日の決勝スタートもくせ者で、ルマン式と呼ばれる各自スタートラインに1列に並んで、スタートと同時に自分のマシンへと駆けていきエンジンをかけてスタートを切る。3日間も要して積み上げた予選の最終仕上げは、結局駆け足で決まるのかとも思えるが、これが8耐の伝統である。せっかくのポールポジションがアッサリと変わってしまうのだ。そんなスタートを切るのが、明日の11時30分だ。

今朝こっちに到着して取材を進めているが、いやあ、暑い。わかりきっていたことだが暑くて、ほとんど寝ていない47歳直前の体にはけっこうキツくてフラフラする。今夜はしっかりと睡眠を取って、明日に備えないとマズイなという体調だ。

僕がここに初めて取材に来たのは1999年で、まだデジカメは普及しておらず、このプレスルームには現像所が出張サービスをしていた。原稿をメールですっ飛ばすなんてのもまだまだで、プレスルームではFAXサービスを利用するのが主流だった。数年前に追い出されるように現像所はいなくなり、FAX送信機などどこにも見当たらない。わずかな年月で取材体制は激変したことになる。

だが変わらないこともある。どんなに時代が変わろうと取材は現場なのだ。不景気とレースニーズの減少からプレスルームに詰める人数は減少しているが、取材そのものはいまだコメントをメモに取ったり、転倒やトラブルがあれば全力で駆け寄りネタを拾う。アウトプットはこれからもドンドン便利になり、スピード化していくだろうが、インプットは人によって現場で拾うのである。その取材者の能力や感性で記事は何通りにも変化するから、こうして多くの人間が取材に来ているのだ。

それとね、プレスルームから会場に出ると、きれいなお姉さん方が各チームを彩っている。これも昔となんら変わらずデジタル技術ではどうにもならない、若さと美しさがなくては務まらないわけだ。彼女らは若さという武器を失うと現場から去っていき、次の世代のレースクイーンと入れ替わっていく。おっさんはずっと居座ってスミマセンねってな気分だよ。

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