表紙で振り返る令和4年 ~シャバダバシャバダバ~。

俺たちは夏の夜に成長した。と、スローガンを掲げてトライした 7月11日発売号 (vol.74在庫あり) は、この凄まじいまでの破壊力を持った表紙で勝負に出た。多くの女性読者を無視したかのようなビジュアルだが、そこんとこはご容赦いただきたい。これは 前号から続いている現象とも言えるが、常に思っているのは媚びてはならぬということ。昨今では絶滅危惧種の「黙ってついてきな」的な方が、女性はしびれるのである (ホントか?) 。それは女性に限ったことでなく、すべての男性諸君には向けないのが年齢限定雑誌である。ただし、上下5つ前後の世代を 俺たち世代としてとらえて、は “ベルト” と呼んでいる。

 

黙って俺についてきなとはしたが、恐竜の次が『11PM』とは僕が女性だったらコップの水をぶっかけて「さよなら」だろうな。それっくらい男臭のする一冊には、逆に歓喜した男子も多かろう。

 

特集冒頭のメッセージに、「昭和の夜は暗かった」と書いた。これは住んでいた地域によっても差異が大きいが、ここで言いたかったのは今のような24時間体制でない夜ということだ。闇は怖いが、僅かな灯が見えれば好奇心が湧いてくる。俺たちはガキの頃から青年期にかけての夜に、一直線にその灯へと向かっていく。とくに、やがて知るSEXにおいては「夜のムシのごとくうごめいた」とした。明るいファミレスで、ドリンクバーが提供するアルコールなしで夜通し語り合うなんて、俺たち世代には極めてかったるい。それを「飼い慣らされた」とも表現した。ケンカ売ってるなー、いいなー。

 

そんな俺たちの共通体験の中で燦然と輝くのが、親の目を盗んで観た『11PM』である。そのビジュアルを起用した表紙に、きっと ♪シャバダバシャバダバ~ がジングルしただろう。そしてもうひとつ、心に強く刻まれているのが『オールナイトニッポン』ではないか? 鶴光さんがいやらしい声で問う「乳頭の色は?」に対して、電話の向こうで答える女の子の声にどれだけ興奮したことか。女性の何たるかをまだ知らないながら、たくましく妄想した夜だ。現代の男子には意味不明だろうが、こうして俺たち世代は肉食獣になれたのである。眠気と戦いながらも、朝の鳥たちが鳴き始めるまで聴き通し、流れてきた「ビタースウィート・サンバ」のメロディになぜか自分が勇者に思えたりしたものだ。ああ、昭和!!
 

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