かもめが翔んだ日 〜大編集後記。

 

ネット系では売り切れが相次いでいる最新号 (vol.76) だが、我が社オンラインショップでは買えるし、なんてったってお世話になっている多くの書店さんにはまだあるから走ってくだされ。今日も元気に最新号のご紹介をさせていただく、大編集後記を今日も元気につぶやこう。

 

巻頭特集の『俺たち ニューミュージック世代』は、プロローグとエピローグで4つの章を挟み込んだ。昨日つぶやいた、尾崎亜美さんのインタビューが第一章のアンカーで、続く第二章は「名曲・名盤」、そのトップバッターが今日ご紹介する「シングルレコードコレクション」だ。1975年から ’79年 の名曲の数々な訳だが、俺たち世代にとってはまさしく心に突き刺さったまま抜けない曲ばかりではないか。

 

幼くて貧乏だった俺たちだから、ここに並ぶジャッケットの全てが記憶に残っている者は少数派だろう。が、曲は同世代諸氏のほとんどが口ずさめるのではあるまいか。そして想い出を連れてきてくれるはずだ。たとえば僕、ロックによってギターを始めたのだが、ある日フォークギターを弾きこなす友達の家に行った。そして披露された「22才の別れ」は衝撃的だった。その技を彼は「スリーフィンガー」と呼んだ。少しだけ大人になっていた僕は、スペシウム光線やブレストファイヤーよりも威力十分にノックアウトさせられた。教えてもらって家に帰ると、必死になって「スリーフィンガー」を習得したのだった。

 

なんて中学時代の想い出がまず炸裂したページ構成で、ほとんど全ての曲の歌詞までが記憶されているから驚き桃の木である。「冬が来る前に」は『決定! 全日本歌謡選抜』で録音したなとか、「Mr.サマータイム」は大人の階段を上がった気がしたなとか、「飛んでイスタンブール」と「異邦人」は不思議な雰囲気に惚れ込んだなとか、もう次々とあふれてくるように当時に戻れる。10代に貪りついた音楽ってのは、本当に骨格レベルで染みついているものだ。

 

一曲だけ、大人になって驚愕させられたのがある。あるスナックでのことだ。その曲のサビになるとテーブルの下に顔を隠し、おでこだけを僕に見せる。そして眉毛を踊らせながら熱唱するのである。♪かもめ〜が翔んだ〜 と。うーむ、おそろしいまでの宴会芸は大手バイクメーカーの当時広報部長さんだったのである。1つ上の男で、やはり彼にも「ニューミュージック」は染みついていたのだな。そんな様々な想い出を、皆さんもぜひ『昭和40年男』で楽しんでいただきたい。
 

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