デジとの遭遇 STAGE 03 ダブルカラースクリーン搭載のシューティング『増田屋コーポレーション/エアフォース』

デジとの遭遇

電子ゲームの進化の歴史を検証する本企画。今回登場するのは、増田屋コーポレーションの PLAY&TIMEシリーズ「エアフォース」。1画面でシューティング&アクションの2種類のゲームが遊べる。
 

敵エアフォースから街を守る!

増田屋コーポレーション PLAY&TIME「エアフォース」

発売: 1982年 当時価格: 5,800円 電池: LR44 ×2個

敵ヘリや爆弾を撃破するゲームとパラシュート降下部隊を捕らえるゲームの2種類が遊べる。操作系は、本体左側に時計などの設定、アラーム時刻の表示、ゲーム表示の切り替え、サウンドのON/OFFの計5つのボタンを搭載。ゲームでは左右への移動ボタンと弾丸発射ボタンを使用する

増田屋コーポレーション PLAY&TIME「エアフォース」

増田屋コーポレーション PLAY&TIME「エアフォース」ゲーム画面
▲戦車を操作し、敵ヘリや爆弾を撃破する。左右の都市、または自機が3台破壊されるとゲームオーバーに
増田屋コーポレーション PLAY&TIME「エアフォース」ゲーム画面
▲50点超えで敵部隊を捕らえるゲームに切り替わる。100点で最初のゲームに戻り、以降はループ。画面の劣化で赤色が見えづらい!?

子供の頃、増田屋コーポレーション(以下、増田屋)のオモチャで遊んだ昭和50年男も多いだろう。同社は現在も存続する玩具メーカーとしては最も歴史が古く、創業は1724年(享保9年)。当初は人形を取り扱っていたが、1904年(明治37年)には金属製のオモチャを扱い始め、戦後の49年に増田屋齋藤貿易と改称。60年代にかけて自動車やブリキのオモチャなどを多く生産し、国内外で人気を博した。79年に現社名となった。

オレたちになじみ深いところだと、生き物のような動きをする輸入玩具「モーラー」(75年)や電子ゲーム「PLAY&TIME」シリーズ(82年~)あたりだろう。派手さこそないが、世代を超えて親しまれる手堅い商品を数多く手がけている。今回はその増田屋のLCDゲーム『エアフォース』を紹介したい。

外観は任天堂「ゲーム&ウオッチ」の影響を色濃く受けているが、中身は同シリーズにない1つの画面で配色の異なる2種類のゲームを内蔵。ゲームの進行によってキャラクターの色が黒から赤に場面変化するのは、モノクロゲームが主流だった当時としては珍しい。また、同じゲーム内容でキャラのみを差し替えたゲームが多く存在していたなか、本作の類似ゲームは見当たらない。

ゲームの目的は、敵の空挺部隊から都市を守り、指令部への進入を防ぐというもの。まずA画面でのゲームは戦車を操作し、敵のへリの爆撃から左右にある都市を守るという内容。回転するプロペラのリアルな描写にこだわりを感じてしまう。敵のヘリから投下される爆弾を次々と撃ち落としていくのだが、「スペースインベーダー」のように高い位置で撃破するほど高得点となる。50点に達するとB画面に移り、プレイヤーは装甲車を操作して3台のヘリから降下してくるパラシュート部隊を次々と捕らえるというもう一つのゲームに変化。100点に達するとA画面に戻る。2周目のA画面では、ヘリを4機撃ち落すとジェット機、B画面では敵パラシュート部隊を10人捕らえると敵物資が出現。前者の撃墜と後者の捕獲でボーナス5点となるため、射幸心が刺激される。敵のヘリを撃破する攻めのゲームと、司令部への敵の進入を阻止する守りのゲームの両タイプを楽しめるのも魅力。

当時、ゲーム&ウオッチブームの陰に隠れて目立たなかったシリーズだが、本作のように “遊べる” ゲームを数々とリリースした増田屋の精神をおおいにリスペクトしたい。

増田屋コーポレーション PLAY&TIME「エアフォース」広告
▲当時の少年誌に掲載されたPLAY&TIMEシリーズの広告。手頃な価格の下位モデルから機能充実の上位モデルまでバラエティに富んでいた
増田屋コーポレーション PLAY&TIME「エアフォース」
▲スクリーン前面にはカラフルな背景を描写。本体は約88gと重厚感があり、背面に開閉式のスタンドが付いているので置時計としても使うことができる

増田屋コーポレーション PLAY&TIME「エアフォース」

よく見るとカワイイ!? PLAY&TIMEのキャラ

本体やパッケージにさりげなく描かれているキャラクターたちのシンプルに特徴をとらえる(無理なく動かせる)デフォルメの妙も魅力のひとつ。

ゴリラ

増田屋コーポレーション PLAY&TIME ゴリラのイラスト
▲どこか憎めない顔のゴリラ

忍者

増田屋コーポレーション PLAY&TIME 忍者のイラスト
▲巻物を手に握る忍者

ダイナマイト

増田屋コーポレーション PLAY&TIME ダイナマイトのイラスト
▲ダイナマイトもこわくない

増田屋コーポレーション PLAY&TIME ナマズのイラスト
▲愛らしい表情のナマズ

増田屋コーポレーション PLAY&TIME 羊のイラスト
▲とぼけた顔の羊がキュート

3つの価格帯で登場! 増田屋コーポレーションの
初期「PLAY&TIME」シリーズ

シリーズのなかから上位・中位・下位モデルの順に2種類ずつ紹介。上位は異なる2つのゲーム、中位は難易度の違うゲームを搭載。下位のゲームで遊べるのは1種のみ。
 

ジャングルアドベンチャー ウッドマン(’82)

増田屋コーポレーション PLAY&TIME「ジャングルアドベンチャー ウッドマン(’82)」
▲ツルに飛び移りながらゴリラに捕まった女の子を助けるゲームと、ライオンから逃げながら木を切り倒すゲームが遊べる

侍 対 忍者(’82)
 

増田屋コーポレーション PLAY&TIME「侍 対 忍者(’82)」
▲エアフォースと唯一の同型機で、侍を操作して敵忍者を倒す。A画面では屋敷外、B画面では屋敷内にいる忍者を槍で突き刺していく

フィッシュキャッチング(’82)

増田屋コーポレーション PLAY&TIME「フィッシュキャッチング(’82)」
▲川の上流から泳いでくる魚を網で次々とキャッチ。ワニが襲ってきたら棒で叩いて撃退。高得点になるほどワニの動きが速くなる

アンダーコンストラクション(’82)

増田屋コーポレーション PLAY&TIME「アンダーコンストラクション(’82)」
▲工事人を左右に操作し、落下するダイナマイトを次々とキャッチ。時折、落ちてくるビルの鉄骨はハンマーを使って叩き落とす

グラスランド(’82)

増田屋コーポレーション PLAY&TIME「グラスランド(’82)」
▲羊が壊れた柵から逃げたり、橋から落ちたり、狼に襲われたりしないように誘導。囲いからあふれる前に羊小屋に移さないといけない

パイプライン(’82)

増田屋コーポレーション PLAY&TIME「パイプライン(’82)」
パイプの破損個所からオイルがもれないようにパイプでつなぎ、タンクに流していく。タンクが満タンになる前にタンカーに移動

ゲームとラジオが合体したPLAY&TIME後期モデル

ホットライダー

発売: 1983年 当時価格: 5,980円

増田屋コーポレーション PLAY&TIME「ホットライダー(’83)」
▲付属のイヤホンを挿して、AMラジオを聴きながらゲームが遊べる。スタントヘルパーがスタントマンのパフォーマンスを手助けするというゲーム内容

 
『昭和50年男』2022年 3月号/vol.015 掲載】
文・コレクション提供: 山崎 功  撮影: 小林岳夫

山崎 功 / 昭和51年 3月生まれ、神奈川県出身。任天堂研究家として同社の製品収集・保存を行う「任天堂アーカイブプロジェクト」を運営。『懐かしの電子ゲーム大博覧会』などの著書あり。NPO法人「ゲーム保存協会」にて電子ゲームのアーカイブ活動中。
 

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