マーチンD35、ビンテージ。

『浅草秘密基地』によく来てくれる杢師さんにつき合ってもらい、お茶の水に出かけてきた。東京のお茶の水という街は、かの有名な秋葉原の隣で、昔からの楽器街だ。中学時代から何度も通った街で、ここ数年はじっくりめぐることなく懐かしい気分を楽しんだ。店の場所や明治大学校舎など、いたる所に変化はあるものの、楽器街と呼ぶにふさわしい数の店が点在していて、店名も中学時代に世話になった『イシバシ』『シモクラ』『クロサワ』などなど、変わっていない。店内に並ぶ楽器たちも大きくは変化しておらず、ストラトとレスポールが人気を二分している様子がわかる。

お目当てはアコースティックギターで、ギター全般に詳しい杢師さんによるアドバイスを受けながら試奏となった。いやいや、アコースティックギターは実に奥深い世界だったことを、今さら知った。エレキギターにもモデルによっての音の特徴や個体差はある。そこから自分にあった1本を探すのだが、まあ言ってしまえばどれもこれもアンプにつないで電気処理するのだからそこそこいい音になる。比べてアコースティックギターは、個体差が大きいどころか別のものじゃねーかくらい差が大きい。固い、柔らかい、高・低・中音域それぞれの強い所の差とバランス、音の奥行きとか、もうこれマグロの赤身くらい個体差があるのですよ。ゆずのかたっぽに雰囲気の似た若いにーちゃんが次々と高級ギターを手渡してくれ、杢師さんが解説してくれる。うーん、楽しい楽器選びだ(この日は買うつもりはなく、アコースティックギターとはなんぞやという目的で出かけたのだが)。入った店はシモクラ楽器で、素晴らしいのは新品と中古の比較ができること。新品は全般音が若く、つき合いながら鳴りのよくなって過程を楽しむそうで、中古のとくに年代物は音は素晴らしく仕上がっているが、全オーナーの癖や痛み気になる。

10本程度弾かせてもらい、ダントツで気に入ったのがマーチンのD35で、昭和52年製造のものだった。音の深さが圧倒的によかったが、お値段20万円超えなり…。うーむ、高い!! 長期ローンを組んででも手に入れるべきか? 楽器屋の怖いのは、欲しくなると買ってしまうことである。ティーンエイジャーだった頃は、ほとんどが衝動買いでギターが増えていった。「名前教えて」「北村っす」「ああ、なら大丈夫、はんこあるからローン組めるよ。今日持っていっちゃいなよ」「は…、は…、ハイっ!!」と、契約が成立すること度々あった。大人になった僕はさすがにグッと堪えたが、あの日からアイツが常にちらつくのさ。マーチンくん、君と僕は結ばれる運命なのかな?

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2件のコメント

  1. D35はウラっかしが3枚だから音がやらかくて滑らかなんだ。買おうよただちに。

    いつかお呼ばれする時にそなえベース練習しまくりです。

    • 呼びますよー。猛練習で待っててください。

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