オピニオンリーダーになれなくて。

こうして、俺にとって新たなヒーローとなったクイーン。
相当な知識をつけた冬休みを終えて、
三学期を迎えるクラスに俺は自信を持って乗り込んだ。
なぜならオピニオンリーダーになれるはずだと思ったし、
みんなをクイーンファンにして毎日語り合いたかったのだ。

ところが、そうした布教活動(?)を始めてみると、
それまで思っていた以上に洋楽を聴いている人間が多かった。
彼らに圧倒的な人気を誇ったのがビートルズである。
「クイーン? 知らないね。洋楽ならビートルズだよ」
当然、俺も何曲かは知っていたが、
あまりの人気ぶりに日ごとにアンチになっていた。

そんなころ決定的な事件が起きた。
崩壊していた音楽の授業で、
先生が今日の授業はビートルズ鑑賞にしようとテープをかけたのだった。
完全崩壊でサイコーだった授業が一変してみな席について聴いた。
俺は
「こんなのロックじゃねぇ」
と心の中で叫び、後に考えるとなんと愚かなことか、
この日を境に完全なアンチビートルズになってしまった。

あまりにも有名なこの曲が、崩壊授業を立ち直らせたのだ
あまりにも有名なこの曲が、崩壊授業を立ち直らせたのだ

それ以来、俺はますます熱心にクイーンの布教活動を続けた。
洋楽に染まっていないヤツを見つけては家に呼び、
レコードをかけて聴かせた。
数人は興味を示したものの
俺のようにはまっていくヤツはほとんどいない。
こんなにすばらしいものがなぜ流行らないのだろうと
疑問に思いながら、それでも努力を続けた。

結局、そのうち数人が認知してはくれたものの
買ってまで聴いてくれるに至ったのは1人だった。
まっ、レコード自体が高額商品だったからねえ。

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