編集部にはお宝がいっぱい。

このタイトルで今日ご紹介するのは、俺たちを育ててくれた『宝島』だ。1983年の4月号ということはは高校3年生の頃で、当時のカルチャーがてんこ盛りになっていて今見ても楽しいったらない。ページをめくっていけばロックなページが満載なのに、表紙は郷ひろみさんときたもんだ。今もギンギンに活躍する彼の将来を予感させるどころか、確定させるようなインタビューになっていて、感動的な記事である。超一流の人間てやはりいるのだなと、凡人は強く思うのだ。

 

表紙をめくるとまずはブライアン・フェリー様の登場である。続いて郷ひろみさんのかっこいい撮り下ろし見開きから、ショーケンの武道館ライブのカットにいく。これはDVDで所有しているからうれしいページで、カメラマンクレジットがないが、かなりいい一枚が掲載されている。さらにめくると、ピンク・フロイドが続くのだから凄まじいではないか。カラー8ページはここまでで、その後2色刷りページが少々続き、後は延々モノクロページとなる。時代の勢いと編集者の魂が合致して、モノクロページからもエネルギーがほとばしっている。いやあ、こんな雑誌を送り込んでくれた先輩方に感謝である。僕が常々標榜する、“雑誌の雑とは雑多の雑” であることを教えてくれている。

 

表現に萎縮がない。これがいい。表現の自由なんて言葉が陳腐化してしまって久しい、コンプライアンス社会を俺たちは生きている。SNSによって密室は密室でなくなり、言葉が拡散していく。例えば、呑み屋で従業員さんに『昭和40年男』の編集長だとバレていて、ワードだけを切り取られて拡散されたらアウトになる。会話すら自由に楽しめないのか。先の吉野家事件はさすがに許されるワードでないが、きっと渦中のご本人には本意でない部分もあるはずだ。とは言え、現代は警察社会なわけだから脇が甘すぎだ。この『宝島』も、現代だったらこのままでは発行できないだろう。出版不況はこんなところにも要素としてはある。表現が自由でなくなった雑誌をおもしろく作るのは至難なのだ。

 

“ストリートロック” と名付けて、今注目のライブ・バンドをピックアップした「ロックNOW」というコーナーがある。大好きだったストリート・スライダーズの若かり日の写真にトキメキ、こんなバンドも取り上げていたんだと感心させられたのは 爆風銃 (バップガン) である。知る人ぞ知る、ここのリズム隊とサンプラザ中野さん&パッパラー河合さんがフロントマンだったスーパースランプの融合が、爆風スランプである。ヤマハのコンテストの決勝で双方ブイブイ言わせたのだが、まったくタイプの異なるバンドだ。なぜか僕はこのコンテストの音源を持っていて、勉強させていただいたものだ。とまあ、メジャーからストリート、政治やエロまでも網羅した素晴らしい雑誌に、しばし時を忘れてしまった。って、仕事しなさい!!
 

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