長生きとは?

▲おそらく55年ほど以前の僕とお袋で我が実家である。昭和の下町らしく、長屋で電気店を営んでいた

お袋が今日82歳の誕生日を迎えた。少々耳が遠くなったのと、同じことばかり繰り返ししゃべるのが婆さんぽいが、なーに後者はずいぶん以前からの癖のようなものだし、息子のにもしっかり受け継がれている (苦笑) 。毎朝運動に出かけ、ご近所の高齢者コミュニティにも顔を出し元気モリモリである。10代の頃より、不摂生の百貨店のように生きてきた僕が、健康診断でネガティブポイントがほとんどないのも、お袋の頑丈さによるものだろう。今日ばかりは感謝の気持ちで過ごすごとにしよう。

 

人生100年時代と言われるようになった。俺たちがガキの頃は「へえー、北村さんちのお婆ちゃん、今年で82歳ですって。すごいわねえ〜」なんて会話が成立していたように思う。例えば僕が10歳だった昭和50年の時に82歳といえば19世紀生まれ、明治生まれということになる。その世代の方々は、戦争によってモノのなかった劣悪な時代の影響が大きいということだろうか。また、健康に関する様々な知識がスタンダードになったことや、体を動かせと言い続けた行政の力を称えていいのではあるまいか。東京マラソンに端を発したジョギングブームだって、長寿国家の形成に一役買っているはずだ。長い年月をかけて長寿国となったことをもっともっと誇っていいだろう。くどいようだが、お袋が今日迎えた82歳という年齢は、ほんの一昔前ならコロッと逝っても大往生との賛辞がもらえただろう。今では「まだちょっと早かったわねえ〜」なんて言われる歳に成り下がっている。

 

一方で、健康を害しても長く生きることも容易になった。僕ら世代でさえ、将来はピンコロでいきたいなんて気の早い話が出るし、お袋も病気になりたくないからせっせと体を動かしているのだ。比べてそのバカ息子といえば、先日ランナー復活宣言したもののまったく走っていない。やれやれ、だらしないこと。

 

我が家から歩いて20分ほどの古ぼけたアパートに、たった一人で住まわせていることが心苦しい。本人は元気にやっていると笑うが、頑丈を含めた恩恵ばかりをいただき、な〜んにも返していない親不孝者をなんとか脱却したいと願っている今日の誕生日だ。もっともっと頑張らなくちゃな、オレ。
 

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