表紙で振り返る令和3年 ~その弍。

今年の初取材 (vol.66) が小泉今日子さん、キョンキョンだったのは大変縁起がよかった。ダメ元で真正面からオファーしたところ、話を聞かせてくれとのことで一昨年の暮れに、副編竹部と一緒に事務所に向かった。2人とも緊張からか約束の時間よりもずいぶん早くに事務所のあるマンションの前に到着していた。そしてアポの5分前にピンポーンと鳴らすと、なんとご本人が出てきた。びっくりだよ。

 

打ち合わせが始まると、やはり美しい。髪をかき上げる仕草に気絶しそうなのを必死に堪えながら雑誌の説明をした。昭和41年の早生まれの彼女はタメ年である。は口癖のようになっている「前の世代の頑張りを、俺たち世代が食い散らかしちゃならんのです。その共感を生み出したくてこの本を作っているんです」と説明すると、彼女の目がキラッと光った気がした。強くシンパシーを得られて、取材を受けてくれることが決定したのである。

 

そして新年早々に、落合カメラマンとタメ年ライターの濱口、僕と副編竹部で取材が行われた。落合さんのオフィスとスタジオが六本木にあるので、その周辺でロケを敢行した。圧巻なのは撮影時のポージングだ。さすがなんてったってアイドルで、これぞプロと感動しながら過ごした今年の初取材のなんと心地よかったことよ。インタビューも真剣なやりとりながなされ、堂々出来上がったのだった。

 

特集 (『俺たちをゾクゾクさせた カッコいい女たち』) の冒頭から僕はこのメッセージを発したので、今年の振り返りにどうぞご一読くだされっ。

 

男は “名前を付けて保存” し、女は “上書き保存” するとよく言われる。本誌に懐古趣味はなく、「明日への元気と夢を満載」を掲げて発行しているものの、“名前を付けて保存” の性分が抜けない同世代諸氏は多かろう。そんな男たちに、小泉今日子さんがガツンとひと言、「過去がよかったなんて絶対言わない」とモノ申してくれた。1982年に俺たちの前に登場した彼女は、なんてったってアイドルだと歌い放ちつつ、ヤマトナデシコを七変化させる。超絶にかわいくて、そして最高にカッコいい存在だった。彼女のカッコよさの本質は「今が楽しい」にあるのだ。
 
男として生まれたガキの頃は、かわいさに基準を置いて女の子を眺めた。しかし、男の内側にある男に気がつき始めたのと時を同じくして、白木葉子や峰不二子といったフィクションの女性、秋吉久美子や桃井かおりなどのリアルな女性を観て、女のカッコよさという魅力に目覚め、翻弄され始めた。やがて、中学や高校時代になるとクラスメイトにもカッコいい女がチラホラ見つかるようになる。それはブラウン管の中と同じく少数派だったが、小学生の頃にかわいこちゃんを価値基準の最上位においていたのとまるで入れ替わったかのように、惹かれ恋心を燃やした (そして散っていった) 。そんなタイミングで現れたのがキョンキョンだったのだ。
 
今回の特集では彼女にトップバッターをお任せしたわけだが、ここより続く女たちもすべて俺たちが男の道を突き進んでいくなかで唸らされた人物ばかりだ。この特集を読み終わった時、「過去がよかったなんて絶対言わない」という言葉が胸に沁みるに違いない。さあ、男たちよ。彼女たちの魅力をいま一度身体中に取り込んで立つのじゃー。いざっ、進め!!  俺たちはまだまだこれからだぜ。
 

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