「直角が行く。」連載中のズバリ昭和50年男・渋谷直角。90’sのリアルな空気を刻んだ最新刊『世界の夜は僕のもの』を語る。読プレあり!

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渋谷直角氏 / 撮影:石塚康之
▲渋谷直角氏 / 撮影:石塚康之

 
おはこんばんちはです。「昭和トリオ」の “Web担当A” です。
今回はいつものニュース系ではなく、「S50トーク!?」的にお送りいたします。

映像化もされて話題になった『奥田民生になりたいボーイ 出会う男すべて狂わせるガール』(扶桑社 刊)『デザイナー 渋井直人の休日』(文藝春秋 刊) などを手がけてきた、マンガ家/コラムニストの渋谷直角氏。

ズバリ1975年生まれの昭和50年男で、『昭和50年男』本誌にて創刊号からイラストコラム「直角が行く。」を連載中。毎回、出張先でナイスなスポットを訪れてはセレンディピティを発揮、ヤングな時代のグッとくるアレコレを見つけ出してくれてます。

『昭和50年男』vol.1「直角が行く。」 #1
▲『昭和50年男』vol.1「直角が行く。」記念すべき #1
『昭和50年男』vol.13 「直角が行く。」#13
▲『昭和50年男』vol.13 「直角が行く。」#13
『世界の夜は僕のもの』渋谷直角 著/扶桑社 刊
『世界の夜は僕のもの』渋谷直角 著/扶桑社 刊

そんな直角氏のコミック最新刊が『世界の夜は僕のもの』。扶桑社『週刊SPA!』の同名連載をまとめたもので、同社から今年9月末に発売となりました。内容の方は、直角氏の実体験をベースにしつつ、’90年代カルチャーシーンのアレコレがリアルに描き出される青春群像劇。まさに、昭和50年男世代のサブカル好きなら “わかるわ~!” という感じで刺さりまくりの、ゼヒ読んでみていただきたい一冊なんであります。
 

『昭和45年女・1970年女』vol.4 p.132~133「Special Interview 渋谷直角」
『昭和45年女・1970年女』最新号vol.4 の p.132~133、「Special Interview 渋谷直角」。本誌購入の上ご一読あれ~

そして、こちらをフィーチャーした記事が、現在好評発売中の『昭和45年女・1970年女』最新号vol.4の p.132「CULTURE CLUB」パートに、「Special Interview 渋谷直角」と銘打って掲載されております。

今号は『BACK TO THE 80’s  私たちの時代』ということで、“70年女” がティーンエイジャーだった ’80年代の大特集となっているんですが、このインタビュー記事は『世界の夜は僕のもの』をフィーチャーしてのものなので、当然その先につながる ’90年代にフォーカス。
 
ズバリ「90年代のキラキラした部分を切り取って作品にしたかった」との直角氏の言葉をキャッチとして、昭和45年男でマンガマニアのライター・鈴木ダイスケ氏がインタビュアーを担当してくれました。岡崎京子先生の『東京ガールズブラボー』とも対比させたりしつつ、当時の東京カルチャーシーンの想い出をちりばめて、ヒジョーにイイ感じのテキストとなっているので、こちらも必読。ぜひチェックしてみてください!
 
 
…てなところなんですが、直角氏はなんと言ってもジャスト昭和50年男。今回の『世界の夜は僕のもの』はバッチリのタメ年感覚で描かれていて、なんなら『昭和50年男』本誌でまるまるフィーチャーした大特集を組むのだってアリなんでは?ってぐらいの内容。それならば~ということで、実はコチラのWebの方でも、不肖ワタクシWeb担当Aが「直角が行く。」立ち上げ&初代担当のよしみ (?) もあり、久々の再会がてらに取材させていただいたのでした。

そんなこんなの遅れ馳せながらで誠に恐縮ながら、以下、Webでの独自インタビューをお送りしてみたいと思います。…と言いつつ、こっちはゆるゆる~っとダベリトークな感じでだいぶお恥ずかし~ところではありますが、『昭和45年女・1970年女』の記事のB面、いや、副音声的なノリで、あわせてご覧いただければ幸いでス。
  


 
■’90年代を『三丁目の夕日』マナーで描く!?

Web担当A (以下 “”): 早速ですが… 自分は今回の単行本で一気に読ませてもらったんですけど、すごく “さわやか~!” という感じを受けたんですよね。ちょっとホロリとさせる感じは今までの直角さんの作品でもありましたけど、『渋井直人の休日』にしても『さよならアメリカ』にしても、まずは読んでて “アイタタタ…!” とか、“ぐわ~!” っていう共感性羞恥みたいな感情がスゴかった。それに対して、今回は登場人物が10~20代で若いからなのかもしれませんが。
 
渋谷直角氏 (以下 “”): それは、他の人からもよく言われましたね。読後感が今までとは違うって (笑) 。

渋谷直角氏 / 撮影:石塚康之
撮影:石塚康之

A: これまではハラハラドキドキというか、 エグい、こりゃキツイ! という状況の話が多かったですよね。今回はキツい状況もなくはないけど、それでもなんだか、ホント「青春」! という言葉が見事にハマっちゃう感じになっていて。描く時の心境もだいぶ違ってたりしたんですかね?
 
直: 自分の投影は今までもずっとやってきたんですけど、今回は特に “若い頃の自分” を投影させているところがあるのが、デカいのかもしれないですね。“今” の痛みじゃないから、距離感が生まれて、マイルドになってるのかな (笑) 。優しいマンガを描くぞ、ってほど意識はしてなかったんですけど。ただ今回は、西岸良平先生の『三丁目の夕日』マナーは意識したんですよ。それが “さわやかさ” につながっているのかもしれませんね。
 
A: なるほどー! 描いている年代こそ違えど、やはりちょっと、“過去” とか “郷愁” とかを意識しつつ… みたいな?
 
直: 西岸良平先生って、実はディティールがめっちゃ細かいんですよね。キャラクターはゆるめのタッチですけど、出てくる小物とかは異常に細かく描かれていたり、ストーリーも割とシンプルなのに、スッと面白く読めちゃう… みたいなのって、自分としては目指すべき偉大な先人かも、と思って。今回、’90年代をテーマにして描くってなった時に、じゃあ『三丁目の夕日』マナーで描いてみよう、となったんです。まぁ、最初だけなんですけどね。西岸先生への意識は、だんだん後半はなくなってきちゃうんですけど (笑) 。

『世界の夜は僕のもの』p.144
▲『世界の夜は僕のもの』p.144 / 直角氏自身が最も投影されているという本作の主人公の一人、PART1 (第1話) から登場するレオくん。高校卒業後、浪人を経て高円寺の美術系専門学校へ

A: 西岸先生っていうと『三丁目の夕日』のイメージしかなかったんですが、最近になってSF系の作品集を読んで、意外といろんなのを描いてる人だったんだ、と知りまして。なので、今回の作品に通じるっていうのも、言われてみたらすごく納得感ありますね。あと、これまでの直角さんの作品からすると、今回も最初に登場したレオくんがずっと主人公でいくのかなと思って読んでたら、群像劇になっていきますよね?
 
直: そこが『三丁目の夕日』マナーで。いろんな人たちの話じゃないと、ちょっと描きたいものが難しくなるかな… レオくんに全部やらせると、っていうのがあって。
 
A: いろんなパターンの人が登場して、そこからまた実はこっちの人とそっちの人は出会ってて… みたいなことが起こっていくので、おっ!っていう驚きや楽しみがありました。そういえば、女の子の主人公も出てくるんだ!っていうのもちょっと意外な感じがして。
 
直: おー、そうですか? まぁ、カーミィ (※『カフェでよくかかっているJ-POPのボサノヴァカバーを歌う女の一生』(扶桑社 刊) の主人公) 以来になるのかな。

A: いろんなタイプの男子がひたすら出てくるのかな、って先入観で読み始めちゃったもんで、あ、そうなんだ!って感じでした。で、その女の子たちが、いかにも当時の、“いそう!” ってタイプで… バリバリ男にモテるようなタイプじゃない、やっぱりサブカル系にいく人ってこういう感じだよな~っていう。でも初々しくてカワイイ、みたいなところが絶妙に押さえられてて、マンガ家志望の愛子センパイにしても、オリーブ少女のヨーコちゃんにしても、みんな愛らしくて、すごくヨカッタですね~。

『世界の夜は僕のもの』p.60
▲p.60 /青林堂の『ガロ』’93年9月号に登場した魚喃キリコ作品にショックを受けるマンガ家志望の愛子ちゃん
『世界の夜は僕のもの』p.114
▲p.114 / かわいい輸入雑貨大好き、オリーブ少女のヨーコちゃん。学校では「アニエス」と呼ばれている。見た目は小動物系の女のコだが、一本筋の通ったオリーブ魂 (?) を持つ

A: 直角さんのこれまでの作品もずっと、ディティール細かいな~と思ってたんですけど、今回は特に、マンガにしても、音楽… テクノにしても、それぞれかなり解像度高く、掘り下げて描かれてるな、と感じて。そこは直角さん自身の当時の記憶で押さえられていたのか… それとも、描くために結構調べたりもしたんですか?
 
直: 記憶もですけど、やっぱり裏付けが必要なので、かなり調べました。ただ、その時の気持ちっていうか、この時こんな感じだったなー、自分はこう受け止めてたかな、みたいなのが今回大事だと思って描いてましたね。
 
A: いざ描くとなったらそうですよね、全部記憶だけじゃコレはそうそう描けない…。
 
直: 資料は多分… 相当お金落としたと思うけど (笑) 。当時の話ができるような人に会いに行ったり、思い出確認作業みたいなことはしましたね 。表参道で勝手に路上で服を売るとか、ああいうのとかも、そういやイッパイいたなー!みたいなのを話してて思い出したりとか。たとえば、今の若い人たちって、僕らの世代とパルコに対する感覚が全然違う。パルコがトンガッてたっていう感覚すらないんですよね。35歳ぐらいの世代でも、もうただのファッションビルじゃないの?みたいな。
 
A: 渋谷パルコよりも、錦糸町や千葉のパルコとか、そういうイメージが強くなっちゃってるってことですかね。
 
直: だから、あの頃のパルコはみんなが行きたい場所だったってことは描いておきたいな、とか。そういうのはずっと自分の中でありましたね。
 
A: 約1年間、この解像度で、裏も取りながら週刊で連載されてたって、大変ですよね。

直: 始める前からなんとなく資料を集めてはいたんですけどね。でも描きたい話に合わせて、この流れだともっと資料いるな… みたいなことは結構ありました。他のいろんな仕事もからめてみたり。『昭和50年男』の連載用の取材や毎号の特集も、すごく役立ちましたよ (笑) 。
 
 
(次ページへ続く → ■マンガ家になれるなんて全然思ってなかった  [2/4] )
 
©Chokkaku Shibuya, Fusosha 2021

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