【後編公開】キャンディーズ衝撃の解散宣言… あの夜を44年後につないだ伊藤 蘭。9/26開催「野音Special !」の全キャン連代表レポート !

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【伊藤 蘭 コンサート・ツアー2021「野音Special!」レポート Part3】

■新たなスタートの場に… まさにスペシャル!だった2021年の野音の夜

取材・文: 石黒謙吾
 
  

Photo:Midori Kondoh
Photo:Midori Kondoh

 
アンコール2曲目「さよならのないカーニバル」で44年越しの “宿題” が終わり、感無量になりながらMCを聴く。そして「野音Special!」のオーラスを飾ったのは、新たな旅立ちを始めた蘭さんの2ndアルバム、今回のツアータイトルにも掲げられた『Beside you』のラストに収録されている名曲「家路」。布袋寅泰さん作曲のスローバラードに乗って染み渡る詞は、キャンディーズ の ’76年のアルバム『春一番』から作詞を手掛けてきた、蘭さんにとって長年の盟友である森雪之丞さんによるものだ。
 
 
僕が最も聴いてきたアルバムがこの『春一番』で、リリース以来45年間で1万回は聴いているだろう。収録された12曲のうち、雪之丞さん作詞は「オムレツをつくりましょう」「恋の臨時ニュース」「PAPER PLANE LOVE」の3曲。キャンのアルバムには3人のソロがバランスよく入っているのだが、この3曲全てがランのソロなのだ。ちなみに作曲は全て穂口雄右さん。
 
よく「キャンディーズの曲で一番好きなのはなんですか?」と聞かれるが、その時、即答するのが「PAPER PLANE LOVE」。特に好きな歌詞は、2コーラス目の出だし「♪遮断器を渡って坂道登ったら〜」だ。
 
僕は昨年、自主制作で蘭さんに捧げる「微笑の恩がえし」という曲を作詞して歌い、サブスクにアップしたのだが、この曲の出だしは「♪遮断器が降りて電車が〜」としている。つまりは<ファイナル後楽園で僕たちの目の前から消えてしまったキャンディーズ>というメタファーなのだが、作曲をお願いした音楽評論家のスージー鈴木さんとの打ち合わせの際に「出だしの単語を先に決めていただけたら作りやすいですね」と言われて、パッと5秒で出たキーワードだった。それぐらい僕の中では、叙情的シンボルとして刷り込まれているのだと思う。

キャンディーズ解散30周年記念の2008年に、アミューズ大里会長のご尽力によって実現した「全国キャンディーズ連盟 2008 大同窓会」。後楽園のJCBホールに2,000人が集まり、映像の上映の他、MMPやゲストも出演して話題を集める大きなイベントとなった。この時、僕は発起人代表となっていたことで終演後の打ち上げに参加、雪之丞さんが近くにいらっしゃったのでご挨拶させていただき、アルバム『春一番』内の大好きな3曲についても少し伺った。その時の印象的な話。「恋の臨時ニュース」でくしゃみが入ってるのすごい好きです、と言ったら、「あれ、ランのくしゃみ入れたくって、あの場で頼んだんだよね」と。
 
 
そんなこともあり、僕自身多大な影響を受けてきた森雪之丞さん作詞の曲が「野音Special!」を締めくくるアンコールの3曲となっていた。「さよならのないカーニバル」「ダンシング・ジャンピング・ラブ」から、大きく時が流れての「家路」。これにすぐ気づき、またまた深く感嘆。この日のステージには、ファンにはたまらない隠し味がいくつも散りばめられていた。
 
こうして僕たちは、伊藤 蘭さんとキャンディーズを堪能しつくして「家路を辿る」のだった。

Photo:Midori Kondoh
Photo:Midori Kondoh



この「野音Special!」の後、10月10日 (日) にはNHKの地上波で、後楽園ファイナルを中心に秘蔵映像や関係者インタビューで構成された特集番組『伝説のコンサート “わが愛しのキャンディーズ” リマスター版』がオンエアされ、シニア層はもちろん、キャンディーズを全く知らなかった若い人にも、3人の魅力やハイレベルのパフォーマンス、当時の熱量などが伝わり、大きな話題を呼んだ。
 
そしていよいよ、10月28日 (木)、29日 (金) の2日間は、伊藤 蘭さんの今年のツアー『Beside you & fun fun ♡ Candies!~』のラストを飾るライブが、中野サンプラザで開催される。僕はもちろん両日参戦。<蘭>と刺繍した白いハチマキでペンラを振って、当時と同じく一所懸命応援するつもりだ。12月28日 (火) には昨年に続きホテルニューオータニでのディナーショーも控えていて、年末も待ち遠しい。
 
大きな “宿題” を終えたキャンディーズとキャンファンは、今回の日比谷野音ライブで区切りをつけて、“伊藤 蘭 with キャンディーズ” とも言えるような雰囲気でリスタート。僕のような往時からの蘭ファンも、2年前のソロデビューから、あらためてのリセットという形で、想いを新たにできたはずだ。
 
蘭さんにはまだまだずっと、僕たちの前で歌い踊る「やさしい悪魔」でいてほしい。そして僕たちファンは、曲を聴き、ライブに行くことで、’73年のデビューから48年間も人生を支えてくれている “微笑の恩がえし” をしていきたい。そしていつも進行形でこう言い続けていく。

「本当に僕たちは、ずっと幸せです!」
 
 

 
■PROFILE: 伊藤 蘭 / いとう らん
▲伊藤 蘭 ソロ2ndアルバム『Beside you』

1973年、「キャンディーズ」のメンバーとして歌手デビュー。センターとなった5枚目のシングル「年下の男の子」が初のヒットとなってからは人気沸騰。「春一番」「やさしい悪魔」など、さらなるヒットを連発し、’77年7月の突然の解散宣言から、’78年4月に後楽園球場で伝説となったファイナルライブを行うまでファンを熱狂させた。

’80年、映画『ヒポクラテスたち』(大森一樹監督・脚本) に主演し、女優として芸能活動を再開。以降、夢の遊眠社作品をスタートとして、三谷幸喜作品『子供の事情』など数々の舞台に出演。テレビドラマでは、木曜ドラマ『DOCTORS 最強の名医』などに出演し、映画『少年H』では夫である水谷 豊との共演も果たした。2019年に歌手としてソロデビュー。1st アルバム『My Bouquet』は、第61回レコード大賞 企画賞を受賞。以降、配信シングルやアルバムのリリース、ライブ、メディア出演など精力的に活動を続けている。
 
 
伊藤 蘭 2nd アルバム『Beside you』情報
 https://www.110107.com/s/oto/page/ran_ito?ima=4723&panel=4#tshits

伊藤 蘭 コンサート・ツアー2021 情報
 https://www.diskgarage.com/feature/ito-ran/2021/

 
■執筆者PROFILE: 石黒 謙吾 / いしぐろ けんご

昭和36年、石川県金沢市出身。著述家・編集者・分類王。全国キャンディーズ連盟 (全キャン連) 代表。著書には、映画化されたベストセラー『盲導犬クイールの一生』、“分類王” の『図解でユカイ』をはじめ、『2択思考』『エア新書』『ダジャレ ヌーヴォー』『カジュアル心理学』『ベルギービール大全』『ナベツネだもの』など幅広いジャンルで多数。
 
プロデュース・編集した書籍も、『もし文豪たちがカップ焼きそばの作り方を書いたら』(神田桂一、菊池良)、『ジワジワ来る○○』(片岡K)、『負け美女』(犬山紙子)、『ナガオカケンメイの考え』(ナガオカケンメイ)、『餃子の創り方』(パラダイス山元)、『昭和遺産へ、巡礼1703景』(平山 雄)、『昭和歌謡[出る単]1008語』(田中 稲)、『もしあのBIGアーティストが [文春砲にやられた] 歌詞を書いたら』(相田 毅) など250冊以上。

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