ドリフターズは高すぎる山? 〜夢への果てしない道のり〜

 
俺たちの番が終わり、ほっとしつつ残りの組を見た。
そのなかに飛び抜けておもしろい2組がいた。
多くのライバルたちからも、思わず笑いがこぼれてしまったほどだ。
結果的にこの日の代表に選ばれたのはこの2組ということで
俺にも納得の結果だった。

それだけではない。
この日出てきたほとんどの人が俺たちよりおもしろかった。
大きな敗北感を抱えていたのはたぶん俺だけではなく、
帰りの電車ではうつむき加減の3人なのであった。

地元の町屋駅に着いた。
TBSのある赤坂がとてつもなく遠く感じた1日だった。
「ラーメンでも食べようか」
と、俺のおふくろが言った。
美味いものを食いながら元気を取り戻していく3人を見守るママゴン3人は、
俺たちをあたたかくたたえ続けてくれたのさ。

この日の経験で得たものは
「それまでの俺の夢がいかになんちゃってなものだったか」
ということであった。
あんなに真剣に演じても負けていく“大人”たち。
そして、絶対チャンピオンになると信じて送り込んだ俺たちの代表が
番組ではあっさりと負けてしまったのだ。

これがお笑いの厳しい現実ということを知り
ドリフターズがとてつもなく高い山に見えた、そんな貴重な経験だった。

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