我々の販売戦略とは?

先日、雑誌や出版関連の業界誌から『昭和40年男』の取材で、約1時間のインタビューを受けた。ユーザー向けの取材はどんな小さな扱いでも受けるようにしているが、業界誌となると話は違う。取り次ぎ店と呼ばれる問屋さんや、書店、きっと出版社なんかの目に触れることになる。となると、ビジネスライクな回答が必要になるのは必然であり、ベタベタな僕が受けて記事として成立するのか疑問だった。僕らも取材現場で困ることが稀にある。情熱的な方だと思っていたらものすごく冷めていたとか、直感で動いていて記事にすべきポイントが少なかったりと、読み物として成立しづらいときだ。業界誌にとっての僕がまさにそうであり、ハッキリと伝えた。「ビジネス軸ですとあまりおもしろくないと思いますよ」と。小さな出版社の信じ難いトライを記事にしたいのなら、相当におもしろいものになるだろう。『情熱大陸』とか『プロフェッショナル』がいいだろうな(すみません、調子に乗りました)。だが先方はこれだけ個性的な雑誌だから成立するとおっしゃる。こちらのダメな部分を伝えた上でいいとのことなら、業界の方々の目に触れるチャンスだから喜んで受けることにした。

「販売戦略は?」「懸命につくることです。熱が伝わるように」。答えながら自分で笑ってしまう。こんな回答を業界誌に載せたら、それこそ編集部の恥だよな。「石の上にも3年だと思います。事実、競合誌のない雑誌で3年目に奇跡的なカーブを描いた経験が複数ありますから」と、これまた業界誌に掲載するにはどうにもならない回答だ。「広告営業面での戦略は?」「いい本をつくって支持されることだと思います」。あきれてしまうが僕が答えた事実であり、自分が逆の立場だったら、なんでこんなバカの取材を仕込んだんだよとなるだろう。取材に来たのはフリーのライターさんであり、きっと今頃どう書こうかと苦労していることだろうが、あまりのバカさ加減を痛快に感じてもらえた部分もあったようで「アリがヤリを持って象に立ち向かっている気分ですよ」と、わけのわからないコメントに笑っていた。

ビジネス軸での取材でありながら、関わっているスタッフや、読者さんに伝えていることとまったく変わらないことを、ハッキリと回答にしている自分と環境に感謝した。業界の皆さん、どんな記事になることやら注目ですよ。

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