なんてったって、仮面ライダー。(9)

あまりにも残酷な結果だった。
駆け寄った俺に親父が差し出したのは、
白いベルトに小さな風車が付いている
どこから見ても偽物だった。

このときの本物というのは
当然のことながらバンダイから出ていた電池で風車が回るもので
満面の笑みで親父が持っているものを受け取った俺はスグに悟った。
“回らない”ことをだ。
手で回せば風車がなんとか動くという代物だったのだ。

「こんなモンでライダーごっこができるか!!」
と、抗議できるほど当時の親の権威は失墜していない。
落胆しながら「ありがとう」とつぶやくのが精一杯だった。
やさしい親父は弟にも同じモノを買ってきて渡した。
完璧におそろいである。

飛び上がって喜ぶ弟を横目に
大きく落胆した俺がたたずむ、晩飯前の居間であった。

ニセモノ?
※本文と写真の製品は無関係です

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