【懐かしの名盤】エアロスミス『Rocks』(5/8)

不定期連載『懐かしの名盤ジャンジャカジャーン』のエアロスミス編の続きだ。この連載は、洋楽邦楽問わず音楽クレイジーだった昭和40年男にとっての名盤を、各ミュージシャンから1枚、僕の独断でセレクトしている。悩みに悩んだ末に選んだのは『ロックス(Rocks)』だ。中2の時にエアチェックしたエアロの特集で音にふれ、お気に入りミュージシャンとなった。『ドロー・ザ・ライン(Draw The Line)』『闇夜のヘヴィ・ロック(Toys In The Attic)』と、なぜか『ロックス(Rocks)』を避けるように手に入れ、次には中学生にとっては重たい2枚組の『ライヴ・ブートレッグ(Live! Bootleg)』を購入した。このアルバムによって僕のフェイバリットバンドは、クイーンを蹴散らしついにエアロスミスが君臨することになった。

大人の階段を登りながら中古レコード店の存在を知り、リリースされていたアルバムすべてを揃えた。この時点での最新アルバム『ナイト・イン・ザ・ラッツ(Night In The Rats)』まで愛せるほどエアロ熱は高まっていた僕だ。ジョー・ペリーの脱退によるネガティブはあったが、エアロサウンドの象徴はスティーブンなのだと信じていた。そしてやがて『美獣乱舞(Rock In A Hard Place)』がリリースされることをミュージックライフで知った。高2のころで、それまでにずいぶんたくさんの音楽に出会い、僕の中ではフェイバリット・バンドが乱立しているような状態になっていたころだ。その中にあってスティーブン・タイラーの存在はシンガーとして、そして憧れのアイドルとして絶対的な存在であり続けていたから、すぐに予約を入れて購入した。針を落として一発目の『ジェイルバイト』でぶっ飛んだ。エアロに限らず、買ったレコードに針を落とす瞬間はワクワクするもので、ショックをくれることが多い。この日は音楽にハマって以来初めて、悪い方のショックを受けたのだった。「なんじゃこりゃーっ、質の悪いヘビィ・メタルじゃねーか!!」と心が叫んだ。コイツはエアロサウンドじゃない。『クライ・ミー・ア・リバー』を取り上げたのはセンスがいい。それとラストの「プッシュ・カムズ・トウ・シャイブ」は、このアルバム唯一大好きな曲だが、そこまでである。辛抱して何度か聴き込んでみたが、取り立てていい発見はなく駄作の烙印を押した。『ナイト・イン・ザ・ラッツ(Night In The Rats)』さえも好んで聴いた僕が、まったく認めることができないのだから仕方ないだろう。エアロスミスは過去のものとなった、高2の夏のことだ。(続く)

この記事が気に入ったら
いいね ! しよう

Twitter で