第96話 “大”編集後記。(5)

 
『昭和40年男』に話を戻そう。
今回、この本を『北村マガジン』といった外部スタッフがいた。
んなこたぁないよ、みんなの力でつくりあげたのだからって、
以前ここでも書いたとおり。

だけど、自分の信じた本にしたことは確かだね。
暑苦しくて、押しつけがましくて、泥臭くて、センスがまったく香らない。
同じテーマでもっといい本にできる人はたくさんいることでしょう。
でもね、俺がタクトを握っていなければできないという本をつくりたかったから、
内外スタッフに熱く語り続けてベクトルをそろえた。
そのうえで、褒めてもらえてたくさん売れたいと思うから、
持っている技術も出しきった。

雑誌や本が売れない時代といわれているけれど、
決して“雑誌”が売れないということじゃない。
その完成したパッケージに魅力がないだけなのだ、
といつも自分に言い聞かせて高いハードルを掲げる。

じゃあ売れるためにどうしたらいいのですか?
価値を付与しましょう、となるよね。
これは千差万別、人それぞれになる。
大手の出版社ならそれまでに蓄積された資産をふんだんに使ってとか、
優秀な人材を使ってとか考えられるでしょう。
マーケティング力や経験を使えば、いろんな手法もあるでしょう。
でも、それと俺のいる中小の環境は全然違うから、
自分の汗でなんとかしなければならない。
逆にそこが大いなる成功への道であることを、
これまでバイク雑誌の世界で実感してきた。

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