夏のおっさん、少年に変身。

えっ、ローリングストーンズじゃないのかって? 昨日の宣言はなんだったのかって? まあまあ、不定期でいくのよ。今日はね、せっかくだからホットな話題でいこうと思ったわけだよ。昨日まで3日間歩いてきた、東海道徒歩の旅の取材記だよーん。

歩き出したお馴染みコンビを襲ったのは、容赦なく体に突き刺してくる紫外線と気が遠くなるような高温だった。前回のゴール地点である浜名湖からのスタートで、キレイなオネーチャンたちの水との戯れを横目に、吹き出す汗は10万トンだぜっておっさん2人だ。悩んだ末の僕のコスチュームは、毎度のタイトなジーンズとTシャツにしたのだが、ピタっと足に張り付いたジーンズは気持ち悪いったらない。麻とかの涼しいパンツを用意すればよかったなあと、ちょっぴり後悔したほどだ。

そんなヤレヤレな気分で始まったものの、ここのところ炎天下のイベント仕事が続いていたからか、暑さに対応できて思ったよりいいペースで進んでいく。水分補給を忘れずには2人の合い言葉だ。甘いドリンクが得意でない僕がポカリスエットを飲んでいるのだから、その保身ぶりったら相当なものだったね。グングン進んでいきちょっと遅くなった昼飯のうまいこと。普段だっておいしくいただいているが、こうして体を動かすと“欲している”ことがよくわかる。どんぶり飯をもちろんおかわりしての焼き肉定食がうまいこと。海のそばなんだから本来ならば刺身定食を頼むところだが、笑ってしまう、2人共に焼き肉定食なのである。ガツンといきたい気分なのである。食べ盛りのころの飯の感覚を取り戻したおっさん2人は、至福のチャージを終えまた旅を続けた。「夕方になれば少しは涼しくなるよね」との予想はまったく外れ、西へと行軍を続ける我々に注がれ続ける太陽光線攻撃は、西に日が傾くと強烈さを増し、疲れた体を追い込んでいくのだった。

でもね、なんだか小学生のときの夏休みを久しぶりに味わった感じがして、気分は決して悪くないのである。汗びっしょりになって遊んだ夏休み。真っ黒に日焼けしてスイカを食べた夏休み。絵日記つけてた夏休み。あれっ、吉田拓郎か? 歩くことにすっかりと慣れた我々と西日の勝負は、おっさんパワーで完全勝利をおさめ、予定通りの豊橋で1日目のビールにありついた。これもまた“欲している”のである。小学生の夏から一気に階段を駆け上がり、「ぷはーっ」と120%正真正銘の中年親父に戻った。これもまた至福じゃ。

翌日は午前中迷子でほとんど進めないという、今回の連載最大のロスをしてしまった。が、徒歩での旅である。目的地へ早く着くことが目的でなく、いかに徒歩を楽しむかを提案したい企画であり、取材をしながら旅人モードにスイッチが入っている2人にはまったくロスという気分はなく、まったくノープロブレムである。ただ、前日とはちょっと異なる気候で気温こそやや低めだが、湿度がむちゃくちゃに高くて昨日にも増してジーンズがへばりつく。薄い雲の効果で紫外線がうまく拡散されていて、前日の日焼けに上塗りするようにこんがりと焼けてヒリヒリ状態だ。

豊橋が仕掛けるB級グルメのカレーうどんを見つけて、暑い中で熱いのをたっぷりといただいた。ご飯の上にとろろがかかっていて、その上にカレーうどんという3層の絶妙(微妙!?)なアンサンブルに舌鼓を打ち、汗びっしょりで旅を続けて豊川でゴールとした。今日も元気だビールがうまいと、ガンガンとアルコールを流し込んでいく我々は、確実に代謝がよくなっていていくらでも入ってしまうのだ…、っていつもか(笑)。

そして最終日となった昨日は、ニュース番組を騒がせた大型の台風との格闘となった。壮絶の雨中行軍は大人の雑誌ではまず見たことのない、きっと珍しい旅の絵を提供することだろう。クルマで通り過ぎる人から、奇異と驚きの視線をガンガン注がれた。そりゃそーだよね。

高温ギンギラ紫外線の初日に続いて、不快指数が極めて高かった2日目を経て、3日目は雨と風にさらされ震えているという、ギンギラスリーデイズの予想は外れたが、これはこれでおいしいバリエーションとなった。取材者としては結果オーライで、今回の仕上がりは面白いものになると思う。そう、もうすでに9月11日発売の10月号は佳境を迎えているのである。がんばるぞー!!

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