東京文化会館の重み。

まずはちょっと脱線しますが、本日朝日新聞の東京本社版夕刊に『昭和40年男』のロゴが踊る予定になっている。ドキドキ。

先日、日本の文化コンサートの聖地のひとつ、東京文化会館に仕事で出かけた。開都500年の記念事業として昭和36年にオープンしたホールだ。オペラやバレエ、クラシックの大物たちがここで己を賭けてライブを行ってきたその重みが、そのまま空気になっているような気がした。仕事ということで舞台袖や控え室に入れたのはラッキーで、写真は控え室のあるフロアーの壁だ。世界中の超一流プレイヤーのものだろう。そっちの世界に明るくない僕で、残念ながら誰のものだかさっぱりわからない。だがこうしたところにも重さを感じ、芸術の神様がいるような気がしてくる。

上野の杜には美術館や博物館もたくさんあり、よくよく考えると大した文化発信エリアである。戊辰戦争時には戦火に包まれた。勝海舟と西郷隆盛の会談により総攻撃は回避されたものの、局地戦のごとくこの地で旧幕府軍と薩長がぶつかった。その傷跡は今も見られるから、芸術だけでなく歴史探訪でも上野はおもしろい。そもそも上野の杜はすべて寛永寺の敷地だった。増上寺と同じ6人の徳川将軍が眠っている徳川ゆかりの土地が、今は芸術のメッカになっているということだ。

クラシック系の会場で東京を代表するホールがこことオーチャード、サントリーホールだそうだ。ふむふむ、それぞれ格式を感じさせる。先日の仕事というのが最近付き合いが始まったコーラスグループのフォレスタで、一部メンバーに話を聞くとここでやれることに格別の思いがあると言っていた。それでも普段通りのライブで、ほぼ満員のお客さんから大喝采を浴びた。メンバーより僕の方が緊張していて、終わった時はホッとするやら感動するやら。ホールの空気に過剰に反応してしまったようだ。

彼らライブでは、アンコールの最後の曲をオフマイクのオペラ形式で演奏する。ホールの響きのよさを堪能できる瞬間だった。2,000人の客を飲み込んだ大ホールを、肉声だけで成立させるのだから本気で声楽を学んだ人間てのは大したものだ。そして、響き渡らせるホールも古くとも素晴らしく、大人だからこそ楽しめる世界を知った気分の1日だった。

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