ヤマハ「FG-151B」が昭和54年の相棒。

お袋が実家を出されることになった。僕の生家であり幼少から所帯を持って出ていくまでの想い出が詰まった家を失うのだ。そんな青春のかけらが続々と我が家に届けられ始めた。弟が休みの度に少しずつ片付けてくれていて、先日写真のギターが我が家に届いたのだ。「えーっ、こいつあったんだ」と思わず声に出したほど、ずっと見かけなかった一本だ。

中学1年生の冬のことだ。その少し前より洋楽にハマり、初めてのLPレコードをお年玉で買った。続けてお年玉ほぼすべてを注ぎ込んで買ったのがこのヤマハのフォークギターである。定価 1万5,000円の1割引で、ケースなんて買えないから段ボール箱に入れてもらいチャリンコで慎重に持ち帰った。かつてちょっとだけ弾いていた親父は得意げに「禁じられた遊び」を披露しやがってちょっと感動した日のことは、今もすべてが鮮明に思い起こされる。

エレキギターが欲しかったが予算的に手が出ず、僕はこいつでロックギターを練習した。エレキに比べて弦が太いからロックの練習はしんどいったらない。でも負けない根性が当時の僕にはあった。ギターを弾きこなす最初の壁となるコードFも攻略でき、毎日毎日猿のように弾いた。音が大きいから夜はタオルを挟み込んで音が出ないようにして運指の練習をした。やがて念願のエレキギターを手に入れるとほとんど出番がなくなり、家を出る時も置きっぱなしのままで、捨てるわけにいかないとお袋が奥の方にしまったのだろう。

この再会はうれしかった。苦労したあの日のとんでもない集中力を思い出させてくれ、今の自分に押し込もうとする。ボディに少々のカビがついてしまっているが、ネックはほとんど狂っておらずすこぶる調子は良い。音もデッカイ音が響き、こいつはお値段以上のスグレモノである。昭和54年1979年に出会った相棒がなんのメンテもせずに健在なのは感動的である。もう君を離さないぞ。暖かくなると僕は、土手に出かけて友人から譲ってもらったモーリスで歌う。今年はこいつがデッカイ音を鳴らすのだ。楽しみである。早く春よ来い!!
 

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4件のコメント

  1. 中学の時、親父の友人のお下がりだった全音のフォークギターはすでにありません。
    千春とかのフォーク・ニューミュージックを練習していましたが、高校卒業と同時にやめてしまいました。
    数年前に再開してボチボチ鳴らしています。
    最近のお気に入りは自分と同い年のギター、昭和40年製造のアコギです。
    なぜか同い年の物にひかれてしまいます。

    • 再開とは素晴らしいですね。ギターはボケを防止できるはずだと僕は信じて弾いてます。
      タメ年ギターとはうらやましいです。

  2. YAMAHA FG-201B今もあります。写真のようのオレンジのしーるがはっています。
    長く弾いてないですね。

    • 201ということは定価2万円ということですね。僕よりちょっとリッチ。
      弾きましょうよ!!

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