街の表情は守れるか?

我が家から駅までの道にあるセブンイレブンが突如店を閉めた。すぐそばにできたファミマの影響か、駅前両サイドにある同じくセブンの影響かなんて考えていたらなんのこたーない、このようにリニューアルだったのだ。毎日一歩ずつの工事が約1ヶ月急ピッチに続き、明日が開店となるそうだからまたまた熾烈な勝負が続くということだ。セブンの改装休業で、きっとここのところ売り上げが伸びたファミマは逆にピンチか? 

僕の街は、でっかい企業の本社と多摩川沿いに団地が沢山あるからそこそこ繁盛しているだろう。だが至近距離間にセブン3軒とファミマ2軒はどう考えても異常だ。便利に勝ることはないだろうとでも言いたいかのように24時間営業を続ける店たちが、人通りのない夜中にギラギラと光を放っているのは不気味に感じるのが正直なところだ。

ヨーロッパで唯一、ミラノに行ったことがある。経済悪化が叫ばれていた頃だったが、石造りの街は美しいの一言だった。ゴミと落書きが多かったのは残念だったが、店の一つひとつに個性がありスーパーでさえそれを感じさせ、経済停滞どころかそんな風に店主の趣味や嗜好が前面に出た店々は豊かにしか見えなかった。コンビニチェーンなんかもちろんなく、夜中の街で開いているのはバールくらいだ。ビカビカの看板でなく、さりげない光で僕を誘い入れると、陽気なイタリアンたちが迎え入れてくれる。言葉なんてわからなくてもガハハガハハの大騒ぎだ。静かな街とは対照的なお祭り騒ぎの中で、たった1人の日本人は最高の気分を夜な夜な味わった。ホテルへの帰り道はさっきまでが嘘のような静寂の街で、こんなところにコンビニがあったら気分台無しなことは間違いなしだ。

そんな成熟のミラノとは真逆の方向へ進んでいるように感じる街の商いの数々だが、便利に使わせてもらっているのだから文句は言えない。『昭和40年男』もたくさん売ってもらっているから頭は上がらないが、フランチャイズで熾烈な戦いってのは昭和の電気屋で育った僕にはどうにも理解し難い。いろんな形態で金太郎飴化が進む昨今の小売店や飲食店などが好きになれないのは、店主の趣味や嗜好、もっと言えば人が見えてこないからだ。街は加速しながら無表情になっていく。

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5件のコメント

  1. 四国の田舎だからだったかもしれませんが、大学1、2年生の頃はまだコンビニのようなものも24時間営業でなく、ある年、年末にお金を下ろし忘れて財布がすっからかんである事態に気づきました。元旦どこの銀行も開いていない。ほとんどのお店のシャッターが下りていて町中がしーんとしていました。頼みの友人たちも里帰りして誰もおらず、自動販売機の下をのぞいて小銭を探していたりしました。今思うと信じられない光景ですが、今思えばこういう1日があってもいいなあと感じる今日この頃。元旦にお休みするお店、もっと増えてもいいなあと思いますが。

    • 元旦はそう感じますね。どこもやっいないから準備万端で年越しを迎えるのは、お正月の喜びをより強めてくれますよね。

  2. ほんと異常だと思いますよ。
    うちの会社の近所もセブンだらけだし、フランチャイズの本部はいいんでしょうけど
    やってる方は、たまらんだろうなぁ・・。会社の並びにあるセブンなんて、店員さんは外国の方だし
    お客も韓国の旅行客の方ばかりだし、「ここはどこだ??」って感じです。

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