鍋焼きうどんパニック。

2枚の写真は、先週の木曜日と今日のオーダーの違いである。今日の東京は本当に寒い上に冷たい雨がまるで真冬のようだ。こいつをいただいたいつものそば屋では鍋焼きうどんがじゃんじゃん出て、厨房からは鍋敷きが見当たらないとの悲痛な声が響いていた。右往左往する店員さんには申し訳ないが、ちょっぴり笑えた。

居酒屋でバイトしていた僕にとって、夏より冬の方が圧倒的に働きづらかった。コート預かれとか、扉が開くと寒いから席移せとか、様々な要素があるその代表が鍋だ。たいていのお客さんが吹きこぼすからガスコンロの掃除が仕事として加わる。こべりついた汚れは取りづらく、手間がかかるったらない。仕上げの雑炊を焦がすお客さんも多くて、これも上乗せ作業になる。出汁を追加してくれだのポン酢をよこせだのわがままも増えて、僕らバイトは鍋が大嫌いだった。

大型居酒屋における鍋は、そば屋のカレー南蛮のように伝播するのがおもしろい。同じ寒い日でもオーダーに大きなばらつきが出るのだ。見ると食べたくなるのは鍋料理の特徴だろう。それと年が明けるとオーダーが極端に減る。鍋始めましたの短冊をかけた直後の寒い日にはガンガン出るが、2月の寒い日には意外と少なかったりする。客の心理として、鍋始めましたの時期が鍋料理の旬なのだろう。今日の鍋焼きうどんはこれと似た現象である。

今日の時点で鍋料理を始めている居酒屋は少ないだろう。が、きっと今日は出るだろうと思われるくらい寒い東京である。ご夫婦でやってる小さな居酒屋さんなんかは、チャンスとばかりに短冊を書いているかもしれない。大型チェーン店にはできない、そんな機敏な動きが出来る店が本来いい居酒屋である。ご夫婦とパートのおばちゃんで切り盛りするそば屋は、鍋焼きうどんでパニックになっていたのだからこれを見逃すな。時間的にはまだギリギリ間に合うぞ、ご主人(笑)。

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