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とろろと昭和40年男。

2017 年 10 月 20 日 プロデューサー コメント

今の家庭ではほとんど作らないのではなかろうか。えらい手間がかかるし、こんなシンプルな食い物を喜んで食う子供はご馳走であふれた現在では少ないだろうと思ってしまう。

 

 

僕の生まれ育った家では半ドンの土曜日がこいつの日だった。僕にとっては給食の思い出と同じくらい半ドンの昼飯には様々な記憶が詰まっている。そのひとつは何と言ってもカレー曜日だったことだ。電気屋を営むから繁忙期は肉屋で揚げたてのメンチとコロッケ、通称メンコロだったりもした。ごく稀のとろろ曜日になると、昼飯だけを生き甲斐にして帰ったハングリーボーイの鼻をかつおだしの香りがつく。カレーとはまた違った喜びがあり「とろろだね」と居間に駆け込むのだった。

 

 

でっかいすり鉢にすったとろろがセットされていて臨戦態勢になっている。親父を含む男衆3人が交代でとろろをすり、親父のOKが出るまでひたすら滑らかになるようにすりこぎ棒を動かす。本当にこの作業で滑らかになっているのかと疑うほど変化は少ない。OKが出るとお袋が少量のかつおだしを加え、またひたすらにすりこぎ棒を動かす。それを何度も何度も繰り返して、すり鉢に目一杯になったら完成だ。卵を入れて泡を多く立てるのが我が家風だった。茶碗に少量に盛った麦ご飯へ、たっぷりとこいつをかけて流し込むように食う、食う、食う。幸せの食後を迎えるまでの数分に対して、すっていた時間のほうがはるかに長い。

 

 

このうまさの隠し味は家族団欒だ。4人で力を合わせて美味い料理を完成させる。親父のすりこぎ棒の動きにいつも感心させられ、いつかこうして使いこなしたいなんて思ったものだ。今じゃ店で気軽に食える料理になったが、当時はこうして苦労して仕上げていたっけ。と、僕の昭和の原風景だがみなさんはいかが?

 

 

  

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