ザ・バンド。奇跡の5人のライブ盤に酔う。

ロックオブエイジズ久しぶりにこいつをアナログで聴いた。情けないことにCDのラクチンに押されてしまうことばかりで、持っているアナログ盤のほとんどがCDでもライブラリーされていて、家でじっくりと呑みながらだとどうしてもCDにしてしまう。だが久しぶりにこの2枚組を聴きこんで、アナログのよさに酔いしれた。やっぱりレコードはいいな。

先日、あるレーベルの方が音楽が売れない時代にアナログ盤だけは伸びていると聞いたが、なるほど最近アナログの話題は多い。聞けばふくよかな音に酔いしれ、盤をひっくり返す儀式にちょっとニヒルを気取ったりする昭和40年男である。

ザ・バンドと付き合ったという同世代諸氏は少ないだろう。再結成こそしたものの、オリジナルメンバーで活躍したのが昭和51年までだから仕方あるまい。だがこのバンドはそのバンド名の通り、ロックバンドのよさがすべて詰まっている。ボブ・ディランのバックバンドを勤めていたほどの実力派で、僕ら世代に分かりやすい話だとボズ・スキャッグスのバックバンドがあのスーパーテクニシャンバンドのトトだったことと似ている。

ザ・バンドのもっとも脂の乗り切った頃のライブ盤が、この『ロック・オブ・エイジズ』である。演奏のクオリティがハンパじゃない。リズムのうねりに心地良く酔え、ここまでのライブ演奏にはそうそう巡り会えない。

奇跡の5人である。ザ・バンドの奇跡はそれぞれの担当楽器における実力が拮抗しながらものすごく高いことだ。この点もトトに似ているが、あちらはやや突出している者がいる。ザ・バンドの5人はほとんどそれがなく、引っ張り合う緊張感とそこから生まれる余裕がいいテンションでバランスされている。ライブとなると余計にそれを突きつけられる感じで、彼らのライブ音源はなにを聞いても楽しいったらない。

もうひとつの奇跡が、ヴォーカリストが3人いることだ。これが3人ともピンのスーパーヴォーカリストとして成立するレベルなのだ。そんなヤツらが曲に合わせて取っ替え引っ替え歌うのだからたまらない。久しぶりにアナログで聞いて、彼らの声と演奏が心の隅々にまで染み渡った。もちろんCDでもそのクオリティは楽しめるから、70年代のスーパーバンドに触れてみてはいかがだろう。オススメですぞ。

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