昭和のおっさんを泣かす女の子。

あんどうーなつもうかれこれ30年以上お世話になっている『ビッグコミックオリジナル』で掲載されていた『あんどーなつ』をご存知だろうか? 浅草を舞台にして繰り広げられる人情と、かわいい女の子が和菓子職人を目指して努力奮闘する姿を丁寧に描いた作品だ。

江戸時代から続く和菓子店でひょんなことから修行することになった主人公の安藤奈津ちゃんは修行のためなら一切手を抜かない。その素直でまっすぐな姿勢におっさんは心打たれるのである。

浅草で秘密基地を開催している僕は、年に50回以上この地を訪れる。その僕がこの作品に不自然さをまったく感じない見事な描写だ。舞台となっている江戸から続く和菓子店は、裏通りにひっそりとあるような気にさせる。浅草寺や仲見世がリアルに描いてあり感情移入させられたところで、健気に修行に励む奈津ちゃんの姿勢は泣けるったらない。真面目に修行に取り組む女の子から学ぶところが多く、世界は違えど職人の世界にいるおっさんを激しく揺さぶり、何度も何度も涙がツーッと流れるのが情けないほどだ。全否定する方も多くいるだろうというくらいひたむきなのだ。

涙の後に考えてしまう。あらゆる場面で二極化が進んでいるなと。昨日もちょっと触れたことで、あざ笑うことや批判する力は増すばかりで人の心を分断していく。それにさらされることが怖いから静かになることを選ぶ人が増え、ますます二極化が進んでいく。涙を流しながらそんなことを考えてしまうのが辛い昨今である。

昭和と平成はまったく異なる時代と言える。そして僕は昭和をノスタルジーで終わらせたくない。無様にさらされようと拳をあげていきたい…って、漫画作品ひとつで大げさなこの感じも昭和っぽいですな(笑)。

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4件のコメント

  1. 平成の次の代は、昭和のテイストがまた復活するような時代になってほしいなと、
    昨今の世の中の状況を見ていて痛感してます。
    それが出来るのはぼくら世代ではないかと思ってます。
    まだまだ「青春」、終わってないですよ!

    • そうです、僕らはまだまだ青春真っ只中です。拳をあげましょう!!

  2. 原作の西ゆうじ先生が亡くなったことで,これからというところで未完になってしまったのは惜しいですね。それを無理に続けなかった潔さにも拍手です。これもジャパネスク…

    • おっしゃる通り、連載の中止は残念ながらあっぱれでしたね。

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