旧東海道にたたずむ昭和のそば屋!!

img_4224東京下町育ちの昭和40年男にとって、この面構えこそ正しいそば屋である。こうした店に出くわすとうれしくなるおっさんだ。

つい先日のこと、午後から北品川で打ち合わせがあり、腹ごしらえをと旧東海道へ向かった。以前『昭和40年男』の企画で東海道を旅したことがある僕で、そのとき企画をご一緒した男に「こういうそば屋が大好きなんです」と話したのを覚えていたのだ。行くなりすぐに見つかった。「そうそう、ここだよ」と迷わず入ると面構えのまんまの店内で、高い位置にテレビが設置されているお決まりのインテリアコーディネイトもバッチリである(笑)。

img_4219壁にもり・かけ500円で始まる短冊がかかっている。キリのよい値段と年季の入った短冊から、これは消費税8%増税は飲み込んだ粋な店だと考えられる。鳥南蛮680円をオーダーして待つこと数分。出てきたのは思った通りの昭和の色がバッチリで、後ろの箸入れもなんとも懐かしい気分にさせてくれる。まずは汁をすする。「塩っぱ」と思わず声に出そうなほどの醤油の味と香りが強い。浪速っこがコイツをすすったら「なんやこれ、醤油やんけ、アホっ」となるに違いない。が、昭和の東京下町を駆け抜けた僕にはこれは正しいそばである。うまいまずいをグタグタ分析しない。塩っぱくても黒くても全然かまわないのである。

僕の他に客は3人で、そのうちの1人に鍋焼きうどんが届けられると、幼い日の記憶が鮮やかによみがえった。先日電器屋の12月は忙しいなんて話を書いたとおりで、そば屋の出前にちょくちょく世話になる月だった。鍋焼きうどんはおねだりしてもほぼ却下される高嶺の花で、天ぷらそばもNGな北村家だった。と、そんなことをフラッシュバックさせるほど、見事なまでの昭和テイストな店を満喫できた。やっぱりいいなあ、昭和のそば屋は。

この記事が気に入ったら
いいね ! しよう

Twitter で