おっさんのスパゲティ。

%e3%83%8a%e3%83%9b%e3%82%9a%e3%83%aa%e3%82%bf%e3%83%b3この一皿がたまに食いたくなる。そんなおっさんが多いようで、昼時は同世代が連日行列を作っている。油ぎったこの一皿に僕が求めるのはうまさではなく、昭和の記憶だ。1人でひたすらフォークを口に運ぶおっさんたちとのシンパシーを楽しめるのもいい。最近注目される名店が多くあるそうだが、ここは浜松町にあるなんちゃってな店だ。不親切にご紹介するとキーワードは駅である。

普通盛りの400gがこのサイズで、600g、800gがラインナップされる。この400gでも十分な量だが、おっさんたちの多くが600gをオーダーする。そう、こんなメニューを選択できる中年男はほとんどが大食漢なのだ。僕もかつては動くゴミ箱と呼ばれたほどの大食を誇ったが、50歳記念ダイエットによって少ない量でも満足感を得る女子のような特技を手に入れることができた。それでもやるときはやる。大食で通せると思うが、このナポリタンの600gは1度オーダーして封印した。量の問題もさることながら、単調な味と強めの油で完食前に飽きてしまう。この400gでさえ、最初はそのまま手を付けて、途中でタバスコを加えて、最後に粉チーズと三段仕掛けにしないとつらい。そんなことをしないでガンガン頬張る猛者たちはこの店には多くいて、若者や女性の率は極端に低い。

そりゃそうだ。若い世代はパスタである。アルデンテを洒落たソースや仕上げでいただくメニューであって、プニュプニュに伸びきった麺をケチャップで炒めるなんてあってはならない(!?)。もしかしたら食ったことがない若者がいるかも知れず、平成では消失していくメニューのはずだった。が、最近コイツを食わせる店が増えてなんちゃってな浜松町の店にも行列ができるのは、味の記憶ってヤツはうまさとは別次元で俺たちを楽しませてくれるからだ。僕も半年に1度くらいのペースでここに来ては、飽き飽きして店を出るのを楽しんでいる(笑)。さあ、おっさんたちよ。800gにトライだ!!

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