旬のうなぎに震える昭和40年男。

ホントはうな重を撮りたかったけど、無粋なことをしづらい雰囲気だったものでこの箸袋を持ち帰ってパチリ
ホントはうな重を撮りたかったけど、無粋なことをしづらい雰囲気だったものでこの箸袋を持ち帰ってパチリ

先輩ビジネスマンが新年会を催してくれた。「うなぎでも食いましょう」とのうれしいお誘いだ。この方、都内のうなぎ名店をいくつかレパートリーにしていて、ここはそのひとつなんだと紹介してくれた。ちょうど打ち合わせが近くであり、そのまま新年会の開催日としたのだ。打ち合わせはバッチリで、うなぎ通の彼からレクチャーを受けながら店へと歩いた。

うなぎといえば幼い頃よりごちそうだったが、今程高嶺の花ではなかった。昭和の夏の日のこと。お袋から「行っといで」と命じられると、喜んでペダルを漕いだ。実家よりチャリンコで15分くらいのところに持ち帰りの庶民的な名店があった。店頭から勢いよく煙といい香りを吹き出しながら、次々と客をさばく。上から2番目の大きさ、つまり値段のうなぎと追加のタレを買って来いというのが毎度のミッションだった。普段は薄味を貫く我が家だったが、寿司に付けるしょうゆやうなぎのタレなんかにはうるさいことを言わない。やっちゃうときはやっちゃっていいという家風だった。夏はクーラーの取り付けで親父の疲れがピークに達する日が何度かある。その時に投入されるのがここのうなぎで、クーラーシーズン中に3~4回は登場するうれしいごちそうだった。

ウナギの旬は冬だ。つまり先日の新年会は最高のうなぎが食えることになる。注文後にさばいて焼くから時間がかかる。が、その時間は呑んべえには至福の時間でもある。うまい豆腐と前菜三種で1000円也は、酒の注文をした者には問答無用で出てくる。が、これに文句はなく上品に盛り込まれた肴でチビチビと呑む酒のうまいこと。予約(マスト)時に先輩は肝焼きとう巻き卵をオーダーしておいてくれた。というのも、当日だと絶品の肝焼きにありつけないことがあるらしい。てなわけで、これらで2時間近くあくまでチビチビと呑む。後にうな重が控えているから酒量を抑えながらじっくりと話し込んだ。婆ちゃんの家に遊びにきたような純和風の空間が会話を弾ませてくれる。

そして真打ち登場である。ふたを開けるとあの香りとこんがりと焼かれたうなぎさま。昨今の高騰で年に1度口に出来るかどうかといううなぎさま。小さな頃より好物だったうなぎさま。ああ、ああ、うなぎさま。安くないごちそうをビシッと支払ってくれた先輩さま。すべてに感謝しながらいただき、満腹の腹を抱えてバーへと移動した。ここでも2人、幸せの余韻を味わいながら濃い酒を楽しんだのだった。

やっぱりうなぎはいいなあ。そして和食っていいなあ。活力と元気は翌日以降にしっかりと繋がり絶好調だ。持つべきものはやはり先輩だね(笑)。

この記事が気に入ったら
いいね ! しよう

Twitter で

2件のコメント

  1. ほんと高騰しましたね、ウナギ。
    本格的に食えるのは年一ですね、わたしも。
    わが家ではカミさんが嫌いなため、愚息共々大好物な男どもは、こそり食いに行くしかありません。笑
    うなぎって何だか粋に感じるんですよね。

    • わかります。その粋って感覚。言葉で説明できないけどまさにそれですね。いただきです。

コメントは受け付けていません。