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正しい居酒屋とは?〜高倉健さんに憧れて〜

2011 年 3 月 24 日 プロデューサー コメント

歌詞が全く頭に入っていかない。僕の脳はもうダメなのかもしれないと落胆しつつ、
4月3日のイベントに備える日々だ。それと隔月発行を決めたというのに進行がすこぶる
悪い。僕によるところだが、この状況下でのバイクと出版関連の情報収集に潰されそう
なのである。…などと、ちょっと言いわけなんざしてみる見苦しい男である。

 

不定期連載でお送りしている僕が歩んできた居酒屋道である。居酒屋でバイトを始めて、
またまた大人の階段を登った僕だった。一緒に働く人たちのすべてが年上であるのだ。
仲良くなった人にそっとセブンティーンだと明かし、みなさんのカワイイマスコットボーイに
なった。大学生や夢に走りながらバイトに精を出す大人たちにとって、高校生は格好の
オモチャでもあったのだ。そしてやがて店長にバレたが、そのときにはもう仕事ができる
ヤツになっていたからクビにならず、まあ知らなかったことにしようということなり、18歳に
なったら履歴書をもう一度出せという裁きですんだ。おおらかな時代である。

 

バイト仲間で呑み会が開かれると、渋谷に繰り出して朝まで騒いだり、店長に連れられて
寿司屋ののれんなんかもくぐった。スナックに行って歌ったりもした。カワイイセブンティーン
が大人たちに必死に付いていった。やがて18歳になり、僕はまたひとつ大人の階段を登ろう
と企てた。“1人で呑む”というヤツである。おーっ、これぞ高倉健さんワールドの真骨頂だな。
1人呑みデビューを飾るのは中途半端な店では嫌だ。そこで白羽の矢を立てたのが、上野
の裏通りにひっそりとたたずむ居酒屋「五右衛門」であった。当時はまだ少なかった深夜
営業店のひとつであり、バイト帰りに見つけてなんどか入ろうとしたが躊躇していた。渋い
店構えに縄のれんがかかっていて、見るからに店の規模は小さい。そしてある日、とうとう
思い切ってのれんをくぐったのだ。「いらっしゃい」。店内には3人の男が働いていて、清潔
でシンプルな内装。焼き鳥が250円で2本で、ビールが中瓶で400円という設定は決して
安くはないが、大箱でないわりには低めである。なにより、大人の世界が満喫できてこの
価格なら修行と考えればいいと、ひたすらダンディズムを求めた。というより背伸びが
したかったのだろうな。

 

カウンターの端に陣取り、ビールと焼き鳥を頼んだ。なんとも試されているような気分に
なったが、ビールを呑み続けた。「お兄さん、強いなあ」と声をかけてくれたのが小太りの
通称なべさんだった。1人の居酒屋で店員さんと言葉を交わした。もう完璧なる大人に
なった気分だ。僕はここの常連になり、結果的には上野の居酒屋をクビになるまで常に
この店に世話になった。つまみが丁寧であり、居心地が抜群にいい。そしてこの店の
深夜にはさまざまな常連が訪れ、やがては僕もその中の1人になったのである。
続く。

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