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リッキー・リー・ジョーンズに癒されて。

2011 年 3 月 6 日 プロデューサー コメント

昨日はずいぶんたくさんの音楽を聴いたな。ちょっと情けないのは
新しい音楽や刺激の強いヤツに行けなかったこと。〆切の喧噪を
ゆっくりとクールダウンさせてくれるタイトルを選んで、じっくりと聞き
込んだ。昨日とくに染みたのはリッキー・リー・ジョーンズだ。
昭和40年男にとってちょうど洋楽に興味を持ったころじゃないかな、
79年に『恋するチャック』を大ヒットさせた記憶があるでしょ?
当時、その歌のうまさにビックリ仰天させられた歌姫ですな。
ものすごい予算を投入して制作したアルバム『浪漫』は、今聴いても
すばらしい。古さをまったく感じさせないよ。

 

この人相当荒れていた生活だったらしいというは後に知ったことで、
トム・ウェイツと恋人だったというのもびっくりした。もしも2人に子供が
できていたらどんなスゲー歌うたいになったでしょうね。デビューが
あういう風に仕立てられたせいか、どちらかというと優等生のイメージを
持っていたけど、あの表現力はなるほど荒れた暮らしがバックボーン
だったのかと知ったのは初めて耳にした日から10年以上たってから
だった。あらためて古いアルバから買いあさって、すっかり虜になって
しまい、今も大ファンだ。。何年か前にライブに行った。スッゲー
シンプルなバンド構成で、彼女のアコーステック・ギターもバンバン
響いていた。新宿の厚生年金ホールで見たのがすごく贅沢なものに
感じた。というのもこんな特上の音をこんなに小さなホールで見られる
のだから。いい音と人気って伴わないよね。リスナーサイドから見たら
“いい”と“好き”の違いだよね、
いいから好きになるんじゃないものね、好きな曲だから好きになるん
だもの。好きの中にいいがどれくらいを占めているのかは、その人
次第ということになるけど、マスで見るとどうやらいいはあまり大きな
要素でないと感じさせられる音楽マーケットである。

 

モノを創る仕事の永遠の課題である。ならばたくさんの人に好かれるものを
つくりたい。でもそんなにカンタンなものじゃないよね。なんだかね、ヒット
メーカーって言葉も二面性があるじゃない。いい意味となんだか迎合野郎
みたいな感じの。迎合だけで売れるのならそんなラクなことなくてねそこには
やはり秀逸ななにかが内包されているはずで、リッキーの歌はいいけど、
あまり売れないのにも理由があるわけだ(十分売れているけど、実力から
考えるとと言う意味で)。でも、確かに最近の彼女のアルバムは万民が支持
するような作りにはなっていない。だからといって売れたいという気持ちを
放棄しているわけじゃなくて「これがあたしの歌なのよ、文句あんの」みたいな
潔さを感じる。

 

僕はいま、雑誌をつくっていて好きなようにつくりながらも読者さんの目線を
気にしている。表紙はかっこよくつくるより、手にとりやすい親しみやすいもの
へと意識している。それが迎合だとは全然思わなくて、自分がつくりたい
世界の中にどんな読者さんがいるのかを考えるのがワクワクするんだよね。
そんな風に考えている僕が精魂尽き果てるまでがんばって、その疲れを
リッキーが癒してくれるというのが、なんともすばらしいなと思ったのよ。
自由奔放に歌っている声がじっくりとね。僕はやっぱり僕が創りたいように
創る。でもそれは僕だけが自由に創るのでなく、スタッフとの議論や読者さん
の“好き”をミキサーにかけてね。雑誌の“雑”ってすごく好きな感覚で、音楽の
世界とちょっと違うのはそこかな。

 

偉そうに語っている僕の最新作がみなさんとお会いするまであと5日です。
僕たちのモノづくりを、どうぞ書店で体感してください。気に入らなかったら
買わなくてけっこう。財布のひもをほどいちゃったらみなさんの負けです。
勝負しましょうね、みなさん。

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