カロリーに悩む昭和40年男ときつねそば。

キツネそば50歳の誕生日を迎えるまでは、体重を高校時代にリセットしようと頑張った。なんとかクリアして、今は少しずつ食事量を増やしながら維持することに燃えている。というのも、まず目標達成のために一日二食に削ってみた。これが素晴らしい成果を生んだ。体重が落とせるだけでなく、昼を抜くことで午後の仕事の集中力がグーンと上がったのだ。体重以上の恩恵を感じた副産物だった。が、今年頭の健康診断で血糖値がヤバいことになっていた。調べるとなるほど、一日二食はよろしくないことがわかった。とはいえ目標は目標だ。血糖値ごときはいつでもなんとかなる。今せねばならぬことは“高校時代の体重に戻す”ことを第一にして取り組み続けて、結果なんとか達して、現在は三食でも太らない体作りに取り組んでいる。

さて、唐突ながらそば好きだ。年間消費量は米よりも上をいっているのではないかと思うほどのそば好きでたぬきそばが好物だ。唐突な上に余談ながら、江戸の老舗さんのメニューにたぬきときつねがない店は多い。でもそのほとんどが頼むと出てくる。店としてはお客をだますようなメニュー名は失礼だから書かないが、ラインナップとしてはあるのだとあるそば屋の主人に聞いたことがある。すべての店が同じ理由ではなかろうが、粋な話だなと感心したものだ。

温かいそばだとたぬきが好きだが、最近は大抵同じ値段でラインナップされているきつねを頼むことが多い。ダイエットを始めてからは急激に出番が増えている。たぬきよりカロリーが少なそうに感じるのと、揚げはタンパク質じゃんと減量の体を気遣ってのことだ。そして食べながらいつも思い出すのは、30年前に大阪の友人から聞いた言葉だ。「あきやん(明広からきた大阪ネーム)、関東ってな、天かすで金取るやん。でな、汁が黒いやんか。あんなん辛そうで食えんわ」と、たぬきそばをめいっぱい侮辱された。確かに天かすで金を取るのは暴利かもしれないが、かけよりもグレードアップしているのは天かすだけじゃなくほうれん草やなるとなんかが入っているんだぞと反論したかったがやめておいたのは、郷に入れば郷に従えだ(笑)。それにしても向こうはきつね文化で、どこに行っても立ち食いでもうまいから、前述の友人の言葉が出てくるのも無理はない。その素晴らしさは認めざるを得ず、向こうにいた頃はちょくちょくきつねを、しかもうどんを食ったものだ。

だが東京に戻ればたぬきそばで、きつねなんてまず食うことはなかった。体重リセットなんてことに挑戦したおかげで最近ではすっかりお気に入りになり、今日もきつねそばをすすった。その度に大阪のことを思い出しては20歳前の自分と会う。ちょっとだけ金に余裕のあった時の贅沢が、立ち食いのきつねうどんだった。汁を一滴も残さずいただいたあの日の自分を忘れるべからずだななんて、きつねそばだと汁が残せない50歳の僕だ。

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2件のコメント

  1. 高校時代、友人と立ち食いそば屋に入った時のこと。
    ビンボーなオレたちは当然かけそばを注文、野菜ギライなオレはおばちゃんにネギはいらない旨を伝えた。
    するとおばちゃんはネギの代わりに天かすを少し載せてくれた。
    それを見た友人は「それはたぬきじゃないか!」とおばちゃんにくってかかり、自分のネギ入りかけそばにもまんまと天かすを載せさせた。
    それ以後、そのそば屋でネギ抜きかけそばを頼んでも天かすが載ることは二度となかった。
    たぬきそばを食べると今でもあのセコい友人の顔がたまに浮かぶ(笑)

    • おもしろいっ。それにしてもせっかくのおばちゃんのご好意&美談を台無しにしたその友人はひどいですなあ(笑)。

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