倒れてもカウンターに立ち続ける、マスターの心意気に学ぶ。

1人の夜を最高に盛り上げてくれる、行きつけのロックバーがある。邪魔されたくないから教えてあげない(笑)が、ここのマスターが先日倒れた。脳の血管系で、若干の後遺症が残ってしまったものの早期に復帰して、まるで営業がリハビリのごとくカウンターに立ち、酒を運び次々に大好きな音楽をかけてくれる。年上男の奮闘する姿は音楽以上に胸を打ち、明日への活力となっている。

ロックバー音楽の趣味嗜好がとてもよく合うマスターで壁はご覧のとおり。左のポスターはジミ・ヘンドリックスのドキュメント映画のサントラ盤『天才ジミ・ヘンドリックスの生涯』のジャケットに使われていたイラストだ。僕がヘンドリックスのアルバムを買おうとさんざん迷った高校時代に、清水の舞台から飛び降りてこの2枚組新品を買った。ヘンドリックスへの本格的な愛が始まったアルバムで、当時は一生の宝物になるだろうと大切に扱ったものだ。今も僕のラックの中で、美しいまま保存されている。

そしてさらに、この店の一番上座(!?)に鎮座しているのが、我が家のリビングと同じ作品だ。昭和40年男にはあまり馴染みのない1枚かもしれない、ライトニン・ホプキンスの『MOJO HAND』である。アナログ盤のサイズだからこそ魅力的なこのジャケットデザインは、アルバムの内容をそのまま表現している。そう、デザインとはこうありたいものだ(笑)。

こっちは我が家のリビングルームの壁。尊敬するマスターと一緒なのがチョッピリうれしい
こっちは我が家のリビングルームの壁。尊敬するマスターと一緒なのがチョッピリうれしい

僕なんかより断然豊富な知識を持つマスターだから、きっと好きだろうってなマイナーなセレクトもしてくれる。そして解説も完璧で、この歳になって初めて聴く古い音楽にふれているのだ。ありがたや。体はかなりシンドイと素直におっしゃるが、店がはねれば近所にあるやはりミュージックバーに顔を出して呑むこともしばしばある。先日はそのコースに僕もお邪魔して、音楽談義と闘病談義で盛り上がったのだった。

男の強さとは? いつもいつも人から学び、かなわねえやと思うからこそ追いつきたいと磨いていく。そしていつか、そう言われる男になりたいものだと弱虫が叫んでいる(笑)。

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