少女マンガを愛する昭和40年男。

少女マンガ僕の本棚で異彩を放っている作品がこれだ。『エースをねらえ!』はきっとご存知の男子も多いだろう。岡ひろみを中心としたキャラクターたちがイキイキと描かれた傑作である。宗方コーチは「男はだまってサッポピール」にもっともふさわしい男の1人だろう。やかましくいい加減な僕にとっては、寡黙で芯の強いあこがれの人だ。そのコーチが亡くなるまでが描かれたのが昭和48年から50年だと奥付にある。さらにその続編的に描かれたのが昭和53年から55年で僕らが中学生の頃だ。空前のテニスブームに湧いた頃で、硬式ラケットを手に入れる同級生が多かった。当時大学生だったという友人は、1度も使ったことのないテニスラケットを持ち歩いてデートしていたという(笑)。僕ら世代にはあまりピンと来ないかもしれないが、ウソみたいなホントの話で写真を見せてもらい大爆笑させられた。

テニスブームに火をつける一翼を担った作品だろう。当時の女子はみんな岡ひろみになりたかった。きっとお蝶夫人ではなかったはずだ。飼った猫には当然ながらゴエモンと名付けて、藤堂さんとの出会いを求めて軟式テニス部で飛び跳ねていた。そんな中学時代を過ごした僕らのタメ年女子たちは多いのではなかろうか。藤堂さんや宗方コーチのような、そんなステキな男子はそうそういるもんじゃない。数年前にこの文庫版全刊を手に入れて読破した僕は、過去の夢見る女子たちに進言してあげたいと思うほどだった。

もう2つの作品は、当時の彼女の影響でリアルタイムで出会った。最近ネットで見つけて、ついポチッとして手に入れた。想い出とともに甘酸っぱい気分が楽しめた。『ダンシング・ジェネレーション』とその続編となる『N.Yバード』はダンサーの物語で、複雑な恋愛感情とともにイキイキとしたキャラがまさしく踊りまくる。『エースをねらえ!』同様に、ステキな男子ダンサーとの恋がありつつ、コーチとの感情に揺れる。男子からすると少々ドロドロ感が強いかもしれないが、そこはさすが女性作家である。気持ちの動きを細かく描写しているのには感心させられるばかりだ。

10代の頃にこんなマンガを読んで育った女子と、スポ根マンガで涙を流していたはなたれ小僧の感覚に大きな差が出るのはしょうがない。今さらながら当時のバカたれ具合が恥ずかしくなる、50歳直前男である。

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