カワサキと清原明彦。

神戸主張に出かけて来た。厳密にいうと西明石を中心として
大阪を含めた関西出張だが、いつもこじゃれて神戸出張と名乗る。
名乗るといっても誰にというわけでなく、手帳にそう書き記すだけの
ことだけどね。

昨晩は久しぶりに『カワサキバイクマガジン』を最初に提案させて
いただいた方と呑んだ(以前に書いたコチラを参照)。
 「あの日、一緒に応接室でテレビ見てましたよね」
 「忘れられない日だね」
そう振り返る当時のカワサキ広報マンは、今やカワサキバイクの
国内販売部門のボスだ。当時から鋭い仕事の上に人情味もあるという
いわゆるバリバリ系の“できる”男であるから今のポジションも納得できる。
年に4本はライヴに行くという。それもアイドルからジャズ、クラシックまで
オールジャンルで、自分への投資ととらえて活発にこなしている。
当時からそうで52歳になった今も変わらない。なにもライヴを見に行く
だけではない。話題のホテルには実際に宿泊して試し、評判のいい
飲食店には積極的に出向くといった行動は、彼の仕事の感性を強く
支えている。見習わなければならない。どんなに忙しくても、入力を
疎かにするとクリエイティブは枯渇してしまうからね。

そしてもうひとつ、今回の出張では大好きな先輩、ミスターカワサキと
呼ばれた男に新年の挨拶に行った。「おう、よう来たな。まあ、食え」
そう招き入れてくれたのはNHKの朝の連ドラ『てっぱん』の舞台
そのまんまのようなお好み焼き屋だ。豚玉400円、安っ。焼いてる
おばちゃんも『てっぱん』のおばあちゃんに似ていて、なんだか楽しい。
「大阪のお好み(焼き)ともちゃうやろ」と、神戸の味を堪能した。

清原明彦。キヨサンとみんなが呼ぶ。「歯に衣着せぬ」とは
この人のためにある言葉なのではない思うほど、ストレートにものを言う。
でもそれはよ〜く考え抜かれたもので、無駄なことをべらべらしゃべっている
わけでなく会話に集中力があるのだ。レーサーだったからそうなのか、
集中力があるからレーサーになったのか? キヨサンがバイクを速く
走らせるのは、しゃべっているとすべて理解できる気がする。
カワサキのバイクが、というよりホンダを含めた国内すべての
バイクメーカーが試行錯誤を繰り返してい黎明期のことだ。カワサキに
清原明彦という天才がいたことはとてつもなく大きい。
テストライダーとして、バイクメーカーとしては後発であったカワサキの
バイクに乗り、命をかけてテストを繰り返し、欠点を見出し、味付けを
要求していった。限界で走らせ、よりよいバイクへと導いていく仕事だ。
さらにレースにもトライして、数々の功績を残している。こんな偉大な
先輩が僕ごときをかわいがってくれるとは恐縮なのだが、イベントでの
仕事ぶりをたまたま見てもらったのがキッカケである。
「こんなしょうもない本創りよって」と、それまであまり相手にして
くれなかったが、イベントで走り回り汗を流している姿を鋭く見ていたようだ。
イベント終了後「えらいなあ」と褒めてくれたその瞬間から
今日に至る付き合いが始まった。

カラオケに行くと♫ケツは掻いても義理かくな♪と歌い、
「ええか、北村くん。義理を大切にせいや」と笑う。
言葉どおり義理を欠いた人間は絶対に許さず、陰ひなたあるヤツや
嘘つきが嫌いだ。西の人間らしい人情にあふれたキヨサンと楽しい
会話をしばし楽しみ、また、今年のバイク業界の動向について
意見交換をした。今回の出張も少しだけ成長できた気分の、
いい夜である。

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