大阪のホテル価格が最近高いらしい。だがどっこい!?

出張が多くビジネスホテルにはしょっちゅうお世話になる。かつては全国ビジネスホテルガイドなんて本で調べ、事前に電話で予約しておいたものだが、もうずいぶん昔のことに思える。移動中に携帯でチャッチャッと予約できるようになったのは便利なことこの上なく、格安サイトのおかげで同じホテルでも宿泊代はグーンと下がった。その一方で、混雑時の価格の高騰も激しくなったように思う。地方都市で大きな会議があるときなどは、普段5千円以下で泊まっているところが1万円近くになることがある。桜と紅葉の時季の京都なんかはまず取れなくなり、大阪や神戸のホテルまでが高騰するのだ。某有名ビジネスホテルチェーンで、普段6千円台のところが2万4千円なんてのを見たことがある。ネットのおかげで需給がハッキリしているからこそ、時価が激しいのだろうか。ただ、年間で考えたら宿泊費は相当に安くなった。

最近困っているのは、大阪のホテルが軒並み高騰していることだ。予想の範疇だが、外国人観光客が増えていることやUSJ人気でニーズが高まったからではなかろうか。とにかく高くて、僕が普段使うレベルのところで2千円程度上がっている。夜遅くにチェックインして、朝シャワーを浴びたら出かけるだけなんだから高いのはバカらしい。そこで先日写真のところを見つけた。大阪の西成にある看板はビジネスホテルとなっていた。１泊1,600円也。おーっ、安い。風呂トイレは共同で、かつてはあふれかえる労働者を迎え入れていた簡易宿舎だったのだろう。プチ改装を施して全室個室にして鍵をつけたと、そんな感じだろう。周囲には同じような“ホテル”と、ほとんど昔のままだろうという宿が混在していた。

フロントでは宿泊代に加えて鍵代を500円支払う。帰りに返してくれるから、鍵の保証金といったところか。空調は使うかと聞かれ、おそらくと答えるとリモコンを出してくれる。これは無料なのだが、なぜか部屋に常備しない。部屋を開けると布団が敷いてある三畳間だった。歯ブラシもタオルも、お茶さえもない。そんな部屋には不釣り合いに感じる液晶テレビが鎮座している。裏口から入った廊下にブラウン管タイプのテレビが山積みになっていたから、最近大型投資を敢行したのだろう。努力に拍手だ。人間なんざ起きて半畳寝て一畳。三畳だって贅沢な話だぜとニヒルに決めたのだった(笑)。

こうした格安宿は東京でも多く見かける。かつての連れ込み宿だったり、大阪西成と同じく東京にもかつては労働者であふれかえった三谷があり、最近はバックパッカー向けに改装しているところも多い。博多でいつも世話になっている安宿は、かつての連れ込みを連想させる素晴らしい(!?)宿で、当時より手を加えていないままで営業を続けている。この界隈はかつての連れ込み街だったのだろう。周辺にはラブホが多く、きっとこれらは改装組で、その意味では僕の常宿はポツンと取り残されたままだが、しっかりとビジネス客を取り込んでいる。

こうした街のグラデーションが日本全国アチコチで見られる。古いまま営業を続けているところ。改装に踏み切れたところ。そしてもっとも残念なのは閉まったままの宿だけでなく、あらゆる施設が増えていることだ。昨今の日本の街に見られるリアルな表情である。