昭和40年男のアナログ盤コレクション。

先日アナログ晩についてアレコレ思い出し、レコードに関する変態的なノートのことを書いた。同時に懐かしく思い出したのがその入手方法で、紆余曲折を繰り返しながらコレクションを充実させた、貧しいティーンエイジャーだった僕だ。東京ローカル話で恐縮だが、みなさんにもあるそれぞれの入手事情と照らし合わせていただければ幸いだ。

初めて買ったレコード盤は、地元にあったレコード店で購入した。店のスペースをもっとも多く使っているのはレコードなのだが、楽器もわずかながら置いてあって『三井屋楽器店』と名乗っていた。僕が育った荒川区では大きな方の店で、洋楽の品ぞろいも豊富だった。だがここでLPを買ったのは2枚だけで、その後はチャリンコをすっ飛ばしてわざわざ秋葉原へと出かけた。洋楽においては先輩である友人が紹介してくれたのは、10%の金券がつくことと、とにかくデカイとのことからだった。その店が当時の秋葉原で大勢力を誇っていた『石丸電気』だ。

テレビCMで流れていた♪石丸 石丸 電気のことなら石丸電気♪というテーマ曲は、きっと東京近辺に住んでいた昭和40年男たちなら強烈に記憶していることだろう。「でっかいわぁ」で締めるその曲の通り、ホントにデカかった。それまで興味のあるレコードはほとんど置いてあると信頼しきっていた『三井屋楽器店』だが、小さな店へと降格してしまったのは、『石丸電気』には洋楽のすべてがそろっていると思わせるほどの在庫だったからだ。購入金額の10%分の金券もホントにもらえた。そしてなにより中学生を喜ばせたのは、棚に置いてあるレコードを持っていくと、それはさも店頭品ですと言いたげな仕草で、奥の棚から新品を持ってくる。そして検品させてもらえるのだ。初めて買った時は、前に並んでいる人を真似て盤面を眺めて傷のチェックをした。そして盤にゆがみがないかを今度は盤の真横から眺めたのだ。なにか不備があったとしても発見できたかどうかわからんが、ともかく大人たちに交じってするそんな行為は、思いきり背伸びをさせてもらえる、優雅な時間であった。これから手に入れるのだとの幸せと相まって天にも昇る気持ちだったのだ。やがて進学した高校が秋葉原にあったからますます入り浸り、新盤といえば『石丸電気』で、僕のライブラリー中ではかなり高いシェアを誇る。

だがその後に禁断の世界を知る。楽器街の御茶の水で見つけた黒地に赤の憎いヤツ『ディスクユニオン』である。ちょいと話はそれてしまうが、レコードをいつも手に入れたかったのは、盤は永遠に不滅だと信じていたから。友達の中には、購入するとメタルやクロームテープに1度目に針を落とした時に録音して、以来そのまま針を落とさず保存しようとするヤツもいた。針を落とせば落とすほど劣化するから、永遠を手に入れるためにそうしたのだ。僕はそこまではしなかったが、盤は大切に扱ったものだ。

コイツは新品で買うほどではなかったが、ヒットチューンの『ハリウッド・ティーズ』は永遠に持っていたいと思った。『デイスクユニオン』似て購入し、ライナーはもちろん帯もついていた。ちなみに帯は傷むから全部外して別のケースに保管していたが、今は行方不明だ(悲)
コイツは新品で買うほどではなかったが、ヒットチューンの『ハリウッド・ティーズ』は永遠に持っていたいと思った。当然のように『デイスクユニオン』で購入した。ライナーはもちろん帯もついていた。ちなみに帯は傷むから全部外して別のケースに保管していたが、今は行方不明だ(悲)

だがティーンズには当然金がない。そこで開けてしまったパンドラの匣が『ディスクユニオン』で扱っていた中古盤だった。ロック系の豊富な品ぞろえはすばらしく、新品の半値近くで買えてしまう。盤の状態によってランク付けされていて、歌詞カードの有無なども明記されているから安心して選べるのもよかった。高校時代になると『石丸電気』よりもよく出かけたが、その度楽しめたのは、在庫の入れ替わりが激しかったからだ。

どうしても欲しい名盤や新譜は『石丸電気』で買うが、それらに準ずる盤をここでどれほど買ったことか。加えて当時は、エアチェック&友人から借りてテープに収めた時代だから、ほとんど知った曲ばかりだったり、すべての曲がすでにテープで持っていたりするのを、やはり永久保存したくて中古盤を手に入れた。レッド・ツェッペリンは身近にジャンキーがいたからほとんどのアルバムをテープに収めていたが、『ディスクユニオン』で状態のいい盤を見つけると購入した。ちなみに僕は帯なども状態がよく、歌詞カードとライナーはマストで、盤の状態もA以上を求めた。金がないくせにこれらにこだわったのは、やはり永久保存だとの気持ちからだ。

こうして僕のコレクションは『ディスクユニオン』によってグーンと増えたが、今になって自分のアナログ盤コレクションを見てみるとそんなに多くの枚数はないことに気がつく。エアチェック&友人から借りてのテープがメインの金欠野郎だったのさ。実はもう1つ、僕の偏った欲求を満たしてくれた名店に上野アメ横の『蓄昇堂』もあるのだが、こちらについてはまたいつかふれさせていただこう。

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2件のコメント

  1. 編集長の体験記は、背伸びせず本当に俺たち世代の実体験をそのまま伝えてくれている。
    そこが嬉しい。

    • ありがとうございます。体験の数々には恥ずかしさや失敗もたくさん入っていて、当時はただがむしゃらだったのですね。今も失敗だらけですが(笑)。

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