ローリング・ストーンズが存在する時代を生きられてよかった。

ストーンズ最後の来日ではないかとの憶測は、否定した方がよさそうだ。ミックは70歳とは思えない…、なんてセリフで語れない程の現役ぶりで走り回っていた。あの肉体はまさに驚異的で、人間って磨き上げればここまで美しくなるんだとの、動き回る芸術作品を目撃した気分だ。演奏も素晴らしく、セットリストもファンにとってたまらないものだった。

昨日までは、ネット内に書かれている一切のストーンズ情報に目を通さなかったのは、ライブの楽しみであるセットリストを見たくないからだった。オープニングはなにを演るのかが、僕にとってはいつも最大の注目点で『スタート・ミー・アップ』かなと予想していた。今日になってやっと3日間のセットリストをのぞくと、4日の公演がそうなっていて、ため息をついたのは初日公演では頭で『ゲット・オフ・マイ・クラウド』をぶつけていた(昨日は演奏無し)。オープニングだけじゃなく、3公演ともずいぶんと変化をつけたセットリストになっていて、全部観たかったなとまたため息をついたのだった。

逆に言えばどの日に観ても大満足の公演だっただろう。セットもさることながら、ここには真のロックがあるんだと強く深く受け止めることができた。きっと会場を埋め尽くしたすべての人が感じたはずだ。ロックとはストーンズであり、これまでもこれからもずっと変わらない。ラストの『サティスファクション』を受け取りながら、永遠にこれ以上のロックは出てこないんじゃないかとの気持ちになった。本当にこれほど素晴らしいとは、予想を遥かに超越していた。

途中、ゲストで布袋さんが出てきたのは昨日だけだったようで、これにはビックリさせられた。そうだな、ストーンズと一緒に演ることが許される、日本のギタリストの第一人者かもしれない。1曲だけだったが、あの布袋さんがまるで子供のようで、演奏終了後は深々と頭を下げながらメンバーと握手を交わしていたのは、なんとも微笑ましかった。そしてもうひとり、このステージに立つことが許されるなと、僕は鮎川誠さんを思い起こしていた…。

繰り返すが、70歳にしてなんて言葉はない。一線で続けるかそうでないか。続けるのならこうすればいいのだと、ミックが教えてくれたステージだった。当然ながらミックにとってその手本はおらず、ロックシーンにおいて唯一無二の存在だ。僕らはローリング・ストーンズという生きる手本を見習うことができる時代を生きる幸せ者なのだ。パワーがたっぷりとチャージされて、今日のラジオ生出演は少々うるさかったかもしれない(笑)。

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