ロッド・スチュワート vs デヴィッド・ボウイ

本誌連動企画の『3番勝負!』には投票いただけただろうか? 今回は、若かりし日々を盛り上げてくれた洋楽シーンの中から、ソロシンガーの勝負にしてみた。出題者の僕より、思い入れたっぷりに解説させていただきたい。

ロッド・スチュワートまずは第1ラウンド。ロッド・スチュワートについて。これぞロックシンガーとの存在としては、ミック・ジャガーとともに最高峰にいる1人だろう。最近の活動は少々寂しいが、彼がもっとも活躍した時代と、昭和40年男にとって歌謡曲から洋楽へと興味が移っていく頃がシンクロする。僕自身、このアルバムは自分のお金で手に入れた3枚目のもので、興奮しながら針を落としたのが昨日のようである。当時は買ったアルバムのレビューや作品データをレポートにまとめるなんてことをやっていたから、購入したのが昭和54年の1月31日だということまでが記憶されている。中1の3学期ということだ。

当時夢中になって聴いたFM東京の『ダイヤトーン・ホップス・ベストテン』から流れてきた『アイム・セクシー』にシビレまくった。なんちゅうカッコよさなんじゃと。加えて、洋楽の情報源として買い始めて見つけたロッドの金髪と、あのパイナップルカットに激しくロックを感じたのだった。極めつけは、確かNHKだったとやや曖昧な記憶なのだが、お尻フリフリで『アイム・セクシー』を歌う姿を目撃してしまったのだ。それまで見たどんな男よりもカッコ良く感じた。仮面ライダーよりも、志村けんさんよりも、甲斐よしひろさんよりも、そして、熱中時代の北野広大よりも、すべてを超越して僕に届いたのである。

だが、購入したこのアルバムはあまりおもしろくなかった。オープニングの『アイム・セクシー』は、その時点ですでに何度も聴きこんでいた。それ以外にさぞ素晴らしい曲が散りばめられているだろうと期待していたのに、ラストの『うひしがれて』以外にハートを粉砕するように響く曲はなかった。この曲はいまだにソロのロッドではランキングの高い曲だから後悔というほどでなかったが、その前に購入したクイーン2枚に比べて、コストパフォーマンスは低く感じた僕だった。それでもこんだけかっこいいのだがらと許し、やがてロッドがソロ以前に在籍したフェイセスを知ってしまった。これが見事にハマった。さらにその時期にらバントと並行して作っていたソロアルバムにふれ『アイム・セクシー』のロッドは仮の姿であることを知ったのだ。

ロッド断言しようロッドは『アトランティック・クロッシング』より前が、真のロッドの姿であり、これ以降はスーパースターロッド・スチュワートに変身したのだ。『アイム・セクシー』を収録したアルバムの邦題が『スーパースターはブロンドがお好き』とは、昔を知っているファンには皮肉にもとれてしまうほど、かつてはシンプルにロック魂炸裂小僧だった。ただ、フェイセスを含めてそこまで昔のロッドを追いかけた昭和40年男は少数派だろう。そんなみなさんはロック史に残る名曲『マギー・メイ』を収録した『エブリ・ピクチャー・テルズ・ア・ストーリー』にふれていただきたい。きっと、違いのわかる昭和40年男たちなら大満足するはずの大傑作である。そんなロッド・スチュワートに対して、やっぱり大好きなデヴィッド・ボウイをぶつけた。大好きなロッドゆえ、ついつい長くなっちまったので、こちらの解説は次の講釈で!

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