吉川晃司さん演じる杉原千畝に会いに行く。本日昭和40年男DAYなり。

SEMPO

 千秋楽間近となってしまった吉川晃司さんの舞台に、遅ればせながら応援に行ってくる。偉そうに応援って、ただ観客席に座るだけで、むしろ僕自身が栄養を得るためと言った方がいいだろうな。

彼が演じるのは杉原千畝。第二次世界大戦中にナチスドイツに迫害を受けるユダヤ人に、独断でビザを発行して6千人もを救ったという伝説の人物である。つい先日の大河ドラマでは、政府軍と壮絶な闘いを展開した西郷隆盛を演じた姿を見たばかりだ。彼の西郷役に心酔していた僕が、今日の舞台ですんなり切り替えられるかなといささか心配である(笑)。

吉川さんには前々号のインタビューで登場いただき、本誌としては今後もなにかしら絡んでいきたい人物である。今回の舞台にうかがうのは、そのために彼をもっと知りたいからだとの、未来に向けての取材も含んでいる。どう演じるかを心に叩き込んで、彼自身への理解度を増したい。

タメ年男の吉川さんが『モニカ』を引っさげて出てきた時は、正直まったく興味が持てなかった。おそらく多くのタメ年男たちも同様ではないか? 僕はガタイのいいアイドルとの烙印を押した。だがやがて、少しずつ自分の世界を確立していく姿に好感を持ち、いつの間にかナイスガイとの存在に変わっていた。そんな彼に大きく気持ちが寄ったのは、東日本大震災での動きを知ったからだ。ずいぶん後になってから知ったことだが、吉川晃司だとは周囲に悟られないようにして、復興活動に何日も何日も汗を流していた。活動をマスコミに語ることなく、ただ1人の日本人として動いた。きっと西郷ってそういう男だっただろうと信じている僕だから、今回の大河ドラマでの西郷には感情移入させられた。一昨日もここで書いたことと重複するが、彼の人格や心が役に乗っていたように思う。以前、同じく大河ドラマで織田信長を演じた時があった。これは僕の憶測だが、吉川さんの信長への解釈と、脚本や演出との差異に苦しめられたような気がしてならなかった。その時と比べるとよけいに今回の西郷はよかったし、これから会いにいく杉原も実に楽しみである。

さてもうひとつ、昭和40年男の活躍として今朝の『あまちゃん』はスゴかった。奇妙な6人のバージンロードにいた男3人がみんなタメ年男である。このシーンは俺たちにとっては痛快このうえなかっただろう。ワハハと爆笑しながら深く感動させられた、素晴らしい朝だった。こんなタメ年男たちの活躍を飲み込むことで、きっと元気へと繋がっていく。舞台は自分を取り巻いている、ごく小さなものでもいいじゃないか。そこで、ほんの僅かでもいい方向へと引っ張って行くことで、明日が素晴らしいものになっていく。では吉川さん、エネルギーをいただきますぜ。

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