大編集後記その参。ラジカセへの憧れ。

ラジカセ

いよいよ発売が迫ってきたぞ。あー、ゆう、れでぃ? 黄色い表紙の第21号、10月号に期待をお寄せいただきたく、大編集後記をお届けしよう。

今回の特集は『俺たちをワクワクさせたデザイン』とのタイトルのままに、いくつかのモノを取り上げている。まずはタメ年デザイナーのインタビュー2本をプロローグとして綴り、昨日お伝えしたとおりトップバッターはジュニアスポーツ車とカテゴライズされる、俺たちを虜にしたビガビガにデコレーションされたチャリンコだ。続けてブルートレインを持ってきたワンツーコンビに、きっと昭和40年男のハートは鷲掴みとなることだろう。この展開から次に登場するのが、今回もっとも多くのページを割き、表紙を飾ったエースのラジカセをもってきた。普通にいけば、トップを飾るべきなのだろうが、熟考を重ねてこの展開にしたのがどうみなさんにどう響くだろうか。ドキドキしながらも特集タイトルのごとくワクワクしている。

昭和40年男の成長はラジカセとともにあったといっても過言でないほど、まさにワクワクさせられ続けた。新しい機能が生まれるとともに、それがカタチになってデザインが施される。進化を常に感じさせられ、そのCMやパンフレットに熱い視線を送り続けた。ビガビガチャリンコとちょっと違うのは年齢により憧れが色褪せることなく、カセットテープがほとんど使われなくなってしまった今でも魅惑のアイテムだということ。今回の特集であらためてラジカセが欲しくなったが、実家に置いてあった何百ものテープはある日すべて捨てられてしまったから、僕はラジカセを楽しむことができないヤツに成り下がったのだ。まだキチンと保管している昭和40年男は多くいて、その自慢話をチョクチョク聞かされる。その度に、キレイさっぱり捨てたことを知った僕に「どうせもう聞かないじゃない」との、男のロマンをまったく理解していないお袋のセリフを思い出すのだ。

僕にとってもっとも憧れたラジカセは、Wカセットを搭載して衝撃的なデビューを果たしたシャープの『サーチャー』だろう。僕の家は電器屋を営んでいて、シャープと松下が扱いメーカーだった。このラジカセが出た時の親父ったら嬉々として「こういったアイデア商品は、松下ではできないんだ」と僕に説明していた。六畳ほどの小さな店舗だったが、もっともいい場所に設置した。もちろん欲しかったが、これほどの高額商品に手が出せない家だというのは十分に理解していて、ねだることはなく毎日眺めてはそのカッチョイイ姿にうっとりするに留めていた。設置されたままに客の反応を待ったが、売れた記憶はない。あまりにも高額で手が出なかったのは、ご近所様方も一緒だったのだ。いい場所に鎮座したままに月日は流れ、そしてある日万引きれてしまい2度と設置されることはなかった。我が家に暗い影を落とした苦い想い出も詰まっているラジカセが『サーチャー』だ。

今回の特集では8ページを割き、多くの人気機種を掲載している。きっと思い入れを持つ1台が見つかることだろう。お楽しみに〜!!

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6件のコメント

  1. ようやく近所で本が買えました・・・

    今でも現役で使っているSONYのラジカセ・CFS-88の存在感はハンパないですね。
    オーカセ(オープンリールカセット)との組み合わせも中々です。
    こんな感じ
    >http://blogs.yahoo.co.jp/snow_torajima/22498996.html

    2台積み上げてみました。
    >http://blogs.yahoo.co.jp/snow_torajima/22514013.html

    こんなに存在感のある日本のラジカセ達が廃れるってどうにかしてるぜ!と思ってます。
    久々にガツンときた熱い雑誌、これは同世代にもっと広めたい。

  2. 編集長様!「ラテカセ」もとりあげてください。
    少年時代に「見聞録」がほしかった。

  3. LL機能と再生スピードコントロールの付いたSONYのラジカセがしょっちゅう故障して、秋葉原の修理センター(今は無い)によく持って行きました。
    「SONYは故障する」という自分のイメージは、そのあたりから出来た。

    • そうなんですか。電器屋の僕にとっては、扱いメーカーでないSONYは憧れでありながら、持ってはならないメーカーでしたよ。

  4. 『ラジカセ』・・・今でもグッとくるカタカナ4文字よね。
    録音の時、指をチョキにして、絶対ミスは許されない赤ボタンと再生ボタン同時押しの緊張感☆
    自分んちのカセットのふたはパカッ!って開くのに、友達んちのええやつはふわぁ~♪と開くの見て、あこがれとくやしさがシェイクされた切ない気持ち☆
    46分テープだとLP片面の最後の曲がぎりぎり途切れて、自分自身をどう納得させようか悩んだ葛藤の日々☆
    ・・・まさに40年男と青春を共にした『四角い野郎達』だぜ!

    • そうそう、ふわぁ〜ですよ。あれって高級メカニズムを感じて、ドキドキしましたよね。

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