8月31日のユ・ウ・ウ・ツ。

夏生まれの僕にとって、49回目の夏が幕を閉じようとしている。夏が大好きで、夏によって育ってきた僕だから、8月31日は大っ嫌いだ。夏が終わるというだけでなく、いまだに小学生の時の、宿題追い込みの残像が僕の胸を締め付ける。40年近く前の今日、家族総出の宿題フィニッシュで僕は苦しんでいたのだ。まさかその40年先に、同じく〆切で苦しんでいることなんてまったく知らない君へ言いたい。

「宿題というのはキチンと計画性を持って終わらせる癖をなぜ付けなかったのか。この、バカモノがっ」と、まさかこんな大人になっているとは、微塵も思っていない小学生時代の北村君に想いを馳せたりしている。ちなみにまったくの余談ながら、タイトルは沢田研二さんの大好きな曲をイメージしているのは、タメ年ならおわかりいただけてますよね。

この夏は少々地味な動きだった。仕事に完全に振り回されて、ちょっとメリハリにかけてしまったことを後悔しているが、暑さを目一杯感じられたのは夏好きにはうれしかった。「あぢぃ〜」と言いながら、汗をダラダラと流すのが大好きだ。今年も家ではほとんどクーラーを使わず、死んだオヤジから「電器屋の息子がなんじゃ」と怒られそうなほど、我が家は今年も暑かった。それを我慢しながらビールを呑む。思わず我慢と書いてしまったが、本人はそれがうれしくてたまらない、正真正銘の夏ジャンキーである。そんな愛する季節が終わってしまうことを、1年でもっとも強く、そして寂しく感じるのが今日、8月31日である。

さて、小振りとしたがなかなかどうして、短時間で済ませられるおもしろいことをたくさん仕込んだという意味では、ここ近年の中では充実していた。なんといっても、今月は中3日でビルボード東京でライブを見るという、この先しばらくの貧乏生活を約束する奮発をしてしまった。ザ・バンドのガース・ハドソンとリッキー・リー・ジョーンズを、ワインなんか呑みながら観た時間たら、このうえない幸福感を味わった。しかもくどいが中3日である。さらになんと、ひと夏の初体験にコロッケさんのライブに出かけたのだ。コイツは後日レポートを書こうと思っているのだが、いやあ、笑った笑った。精神衛生上スゴくいいだろうな。翌日は元気がまったく途絶えなかったもの。加えて花火大会を2発に、日本を代表するデザイン集団であるGKグループの展覧会と、なんだずいぶん楽しんでいるじゃないか。どれもこれも最長2時間程度だから仕事の合間でこなせるものながら、感動はどでかいイベントばかりだった。温泉一泊旅行は無理でも、それに十分匹敵する喜びを得られた。

これはすでに3年前。非力な機材で獲物を追う僕ったらカッコいいじゃない
これはすでに3年前。非力な機材で獲物を追う僕ったらカッコいいじゃない

だが、この夏は生涯忘れないだろう残念でならないことがひとつある。1999年以来、1度も欠かすことなく取材に出かけた、バイクファンにとっては国内最大の祭典『鈴鹿8時間耐久レース』に行けなかったことだ。夏好きの僕でさえ音を上げそうになるほどの苦しい取材であり、コイツをこなしているうちは健康だと豪語している。長年継続してきたことが途絶えるのって、この歳になると悔しさが大きい。来年から同じ数を積み上げようとすると、達成するのはもう60歳を過ぎていることになるのだから。この悔しさは、夏がくる度に生涯思い出すことになるだろう。

さてさて、もう夏に未練は残しちゃいけない。明日から始まるいよいよ残り4ヶ月となる年男イヤーなわけだから、今年のいい仕上がりをイメージして行動したい。それと、来年の人生50回目の夏を盛り上げる計画でも始めようかな。宿題をやっつける計画を立てないくせに、楽しむことには綿密なスケジュールを立てるのも、小学生の頃からなんら変わっていなかったりする(笑)。

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