昭和40年男の汗に涙があふれた『TOKYOてやんでい』。

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先日書いたとおり、昨日は『昭和40年男』に執筆いただいているタメ年俳優で、脚本家で演出家の村木さんが主宰する『うわの空・藤志郎一座』の舞台を満喫してきた。新宿の会場に早めについてしまい、近所を散策するとなにやらあやしい看板が多く、男性2人が仲良く歩く姿にピンと来た。こっ、こっ、これが噂の新宿名物かと背筋が凍りつき、うろつくのをやめて会場へと戻ったのだった、ふーっ。

気を取り直して会場の新宿タイニアスで開演を待った。いかにもという劇場で、初めて劇団なる世界にふれた日のことを思い出した。高3のときのこと。バイト先にひとつ上のきれいな女の子がいて、独特の雰囲気があってバイト連中の中ではやや浮き気味だった。まかない時間にたまたま2人になり「バンドやってるんだって」と、無口なその先輩らしくなく声をかけてもらった。

「私もね、劇団やってるんだ」と、この「私もね」がなんだかスゴくうれしかったのだ。うす汚いロックンローラーときれいな先輩が同じ人種なんだと言ってくれたような気がしたから。

「今度公演があるんだけどよかったら来て」と誘われ、そのままに出かけた。スゴく狭くて薄暗い。僕の世界、つまり当時レギュラーを張っていたライブハウスよりずっと狭い。汚いのは一緒だが、こんな空間があるんだと18歳の僕は興奮と戸惑いを覚えながら、先輩の登場を待ったのだった。やがて始まったミュージカル仕上げの演劇はおもしろいとは思えなかったが、バイト先で見たことのない先輩の真剣な姿と躍動する多くの人間のパワーに強い感銘を受けた…、とそんな30年前が鮮やかにフラッシュバックした。あの時の会場よりキャパ数はあるが、僕の劇場の原風景に近い、古き良き香りのするハコでワクワクしながらタメ年の活躍を待ったのだった。

『TOKYOてやんでい』は、寄席の楽屋を描いたドタバタ劇で、そこに人生が練り込まれた相変わらず素晴らしい筋立てだった。今日出かける方もいるだろうから多くは書かないが、いやあ笑った。彼らを過去に2回観ている僕だから、今回のテーマがいかにドタバタして、そして大きな笑いを提供してくれるかの予想はついていたが、それを超えて素晴らしかった。タメ年の村木さんは、今回なんと4役をこなすのだがどれも素晴らしいキャラで、そしてどれも大笑いさせてくれた。とくに最後のキャラったらもうカッチョよくて凄みもあって。たまに顔を出してくれる『浅草秘密基地』でふれる彼と同一人物だと思えないほどの、強い存在感とオーラをバシバシ出していて「役者ってスゲエ」と、笑いながら何度も涙があふれてきた。見事なエンディングで暗転、そしてカーテンコールは毎度のことながら胸に大きな感動をくれ、たくさんの“いい経験”をして会場を後にしたのだった。

それにしても、たくさん笑うことと大きな感動を味わうことって素晴らしい。なんだか今日はお肌の調子がいい気がする(笑)。そして、タメ年男の汗と懸命さを間近に感じるのは『昭和40年男』のテーマでもある“明日への元気と夢”を、きっとお土産にして持ち帰れることだろう。今日のチケットがあるかはわからんが、昨日は数名分だが空きはあった。今日は最終の2公演があるから、興味のある方は問い合わせてはいかがだろう(ソールドアウトだったらゴメンナサイ)。今朝の僕の元気を、ぜひ皆さんにも経験してほしい。

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2件のコメント

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