タケカワユキヒデさんのカバーアルバムを聴いたぞ。

タケカワユキヒデ昭和40年男たちには説明不要のタケカワユキヒデさんが、初のカバーアルバムを出した。先月末に発売になった『THE REBORN SONGS ~LEGEND~』をやっと聴くことができた。プロデュースを自身が行っていて、選曲はひょっとしたら『昭和40年男』の存在を知っているんじゃないかと思うほどのフィット感がある。

ゴダイゴからの名曲は「銀河鉄道999」「モンキー・マジック」「ビューティフル・ネーム」「ガンダーラ」の4曲がセレクトされていて、タケカワさんのサービス精神が炸裂といったところか。変化球は一切なしの名曲を配置している。これらのセルフカバーの他にラインナップさせている6曲もまた、直球がほとんどである。

まず、オープニングを飾るのは久保田早紀さんが突如飛ばしたビックヒット「異邦人」で、直球でありながら女性のナンバーで始めるあたりは彼からの挑戦状なのだろうか。アレンジは原曲に近くタケカワさんの声が意外と合う。それにしても名曲ですな。高校時代にサンバっぽいリズムに変えて、ハードな音で味つけるアレンジにして、ライブの盛り上げナンバーに利用させてもらっていたことが昨日のようだ (笑) 。って、ちょいと余談でした。続いてはキターっ「ルビーの指環」である。これも原曲に近いアレンジが施されていて、このタイプの曲ってゴダイゴにないから新鮮に響く。それにしてもこの2曲、タケカワさんの声が意外なマッチングを感じさせた。しかもその後に、セルフの「銀河鉄道999」を持ってくるのだからずるい。さすがタケカワさんと感じさせる構成、いやこれは攻勢でしょうと拍手喝采してしまう。アレンジも特に凝りすぎることなく、サビではゴダイゴのアレンジ同様、トップシンバルの4つ打ちを響かせ、印象的なキーボードソロもそのままの旋律で、ゴダイゴ好きの僕は喜ぶばかりだ。

ここで一つバラードを挟みましょうと中村雅俊さんの「ふれあい」だ。ねっ、なんだか『昭和40年男』の巻頭特集みたいでしょ。『俺たちの心を鷲掴みにした名曲たち』ってタイトルでどうでしょう。続けてはたたみかけるように「モンキー・マジック」でもちろん冒頭は「アチャー」だよ。イントロのキーボードももちろん裏切らず、アルバム中盤のハイライトシーンだ。声質があの日のままでホントに懐かしくあり、でもしっかりと今も通用する普遍的な魅力があることにあらためて気が付かされる。

次が僕は知らない曲 (恥) 、浅香 唯さんによる「STAR」は『スケバン刑事III』の主題歌で、タケカワさんによる楽曲提供だったそうだ。’86〜’87年放送らしく一番テレビを見ていない時期で、まったく知らなかったがコイツもいい曲だなあと、そんな迷子になりそうになった僕を戻してくれたのが次に収録された原田真二さんの「キャンディ」で、これまた昭和40年男には効く。原曲の持つ雰囲気を壊さないものの、ドラムを抜いてさりげなくアイデアが盛り込まれたアレンジはさすがである。続いてはまたも安心のセルフで「ビューティフル・ネーム」は、やはりそのまま時間の旅を楽しませてもらえる。

ここで最後に一つ変化球かなと、ちょっと意外な選曲で稲垣潤一さんの「ドラマティック・レイン」だ。クレジットを見てさらにビックリしたのが、これ詞が秋元さんで曲が筒美さんのコンビによるものだったとは。この曲もゴダイゴには無いタイプだなと楽しく聴くと、ラストの「ガンダーラ」にやんやの大喝采でしょう。キーボードソロがテレビドラマの『西遊記』同様のショートバージョンだったのが唯一残念だったけど、さりげなく新たなアレンジも加えられて名曲のまま響き渡り、アルバムは幕を閉じた。

アルバムタイトルどおり、当時の日本の高いレベルのソングライティングを今に提示しようとする、タケカワさんの強い姿勢を感じた。選曲のべースはまず、メロディラインがしっかりとしていることだろう。「キャンディ」のようなちょっと仕掛けの多いものから、「ふれあい」のようなシンプルな曲までも同居させている基準がそこだ。そしてもう一つが言葉が力を持っていること。いいメロディといい詞の組み合わせが名曲なのは当たり前のことながら、だからこそ今に十分通用するセレクトとなったし、歌唱演奏に仕上がった。あっという間に10曲を聴かせる楽しいアルバムに仕上がっているぞ。
 

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